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フェミニズム映画『バービー』が政治的配慮の末に犯したミス

東京の街頭に掲示された映画『バービー』の看板 Kim Kyung Hoon-REUTERS
<現代アメリカのフェミニズムを前面に押し出しつつも保守派の攻撃を回避したのは見事だったが>
映画『バービー』が日本でも公開されました。そのスタートは決して大ヒットという勢いではないようで、公開直後の興行収入ランキングでは「8位」となっているようです。原因としては、原爆ツイートの炎上もあると思いますが、日本における女性の権利獲得という状況が、あまりにも遅れているということもあると思います。
日本の場合は露骨な昇進差別、セクハラ、パワハラ、マタハラといった不公平な扱いなど、個別の戦いが切実という現実があると思います。そんななかでは、いくら女性の権利を主張したメッセージ性のある作品でも、個々の人への「刺さり具合」というのは、色々ということなのでしょう。韓国での苦戦と同様の構図があるのではないかと思われます。
それはともかく、この『バービー』は、2023年現在のアメリカにおける「フェミニズム」のメッセージをかなりストレートに表現した作品といえます。では、イギリスの人気キャスターである、ピアース・モーガンが言ったように「この映画は男性はみんな愚かだと馬鹿にしている」と反発したような攻撃性があるのかというと、その辺は巧みに処理されていると思います。最後にはジェンダー論を超えて、個の尊厳、つまり人が人間として自分らしく生きるとは、という問いかけまで観客を連れて行ってくれる「志の高い」作品だと思います。
そうではあるのですが、最初から最後まで「フェミニズム思想」が貫かれているのは間違いありません。例えばですが、保守系の映画評サイト「見る価値あり? それともポリコレ?("Worth it or Woke?")」は、公開直後に「Non-Wokeness」が0点、要するにポリコレ度は100%という、彼らの尺度によるネガティブ評価を突き付けています。
保守派からの大きな反発はナシ
しかし興味深いのは、この作品に対してトランプ派や保守層などから「ボイコット運動」とか「子どもに見せるな運動」が起きているかというと、必ずしもそうではないことです。保守派の政治家、例えば共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)などは、試写会も行われないうちから「ポリコレ映画」だとして批判していましたし、公開後も保守派からの批判はありました。
今年に入って、大手量販店が企画したLGBTQ支援キャンペーンが潰されたり、ビール会社がトランスジェンダーのインフルエンサーを起用して激しい攻撃の対象となったという事例があるのですが、今回の『バービー』は、そのような攻撃を浴びるまでは至りませんでした。その背景としては、アメリカの保守派には一部に白人至上主義があるのは事実ですが、男性至上主義や、家父長制への回帰論というのは強くないことが考えられます。
<編集部注:この後、映画の内容についての記述が含まれています>
ここからは、ほんの少しだけ映画の内容に触れますが、映画として人形「バービー」について、セクシズムだとして全否定をすることはせず、「バービー」の歴史へのリスペクトに溢れた処理をしているなど、表現の「尖り」を回避していることもあるでしょう。
それとは別に、ある種の政治的配慮と言いますか、保守派を激怒させないような気遣いがされているのも感じます。
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