コラム

桜田大臣の辞任問題に関する3つの違和感

2019年04月11日(木)16時00分

2つ目の違和感は、今回の発言に対するリアクションのあり方です。もちろん今回の「一人の政治家が復興より大切」というのは、復興の進まない被災地に対してはひどい発言であるのは間違いありません。ですが、その一方で、多くの政治家や識者が、「被害者の正義にタダ乗り」して思い切り叩くというのも、それはそれで、そろそろ見苦しいということにした方が健全かもしれません。と言いますか、被災地の実感としては、話題にするのもイヤなレベルの発言ではないかと思うのですが、どうでしょうか。

3つ目の違和感は、政局への影響という問題です。今回の桜田氏の一件にしても、あるいは塚田元国交副大臣の「忖度しました」発言にしても、非常に個別の事件であるわけです。それにも関わらず、塚田発言の場合は統一地方選で、そして今回の桜田発言の場合には、21日投開票の衆院大阪12区、沖縄3区の両補欠選挙への影響が取り沙汰されているわけです。

これもおかしな話です。こうした失言は、各地方自治体の政策にも、補欠選挙での対立軸とも全く関係がありません。では、どうして自民党はピリピリしているのかというと、世論の中に「長期政権への飽き」を感じているからです。失言問題で、票を失うことを恐れる裏には、この問題があります。

長期政権に弊害が伴うのであれば、「飽き」という直感的な世論がある種のチェック機能として働くということはあるかもしれません。ですが、現在の日本の政局では、政策の選択肢がほとんど見えていないのです。

つまり安倍政権のアベノミクスを批判するのは「結果が悪い」というだけで、では「引き締めや円高」に振って弊害を帳消しにすることが「可能」なのか、わかっている政治家はいないと思います。

外交もそうで、オバマとの相互献花外交にしても、トランプ操縦術も必死でやっている現政権を対米追随と批判するのは簡単ですが、ではアメリカを突き放しつつ経済と安全保障をより安定させる方策を持っている政治家もゼロでしょう。

つまり受け皿も代案もないわけです。そんな中で、「政権への飽き」がマグマのように渦巻き、それを利用して視聴率やビューを稼ぐ動きがあるというのは、あまり健全なこととも思えません。

いずれにしても、桜田発言については「問題外、即時更迭」で良いわけですが、その発言そのものよりも、その周囲で起きていることの方に違和感を感じてしまうのです。

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プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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