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高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で終わるか?

WHY CHINA IS WORRIED

2025年11月3日(月)18時00分
ラフル・ミシュラ(印ジャワハルラール・ネルー大学准教授)
国内の不満と外交強硬路線、二つの火種を抱える新政権 REUTERS

国内の不満と外交強硬路線、二つの火種を抱える新政権 REUTERS

<インド太平洋への関与を強める「安倍後継」の高市を中国は警戒>


▼目次
「火種」は日本国内にも
昔ながらのタカ派で終わるか

日本の首相がころころ代わるのは毎度のことで、今さら誰も驚かない。しかし中国政府は今度の首相に注目している。高市早苗が日本初の女性首相として歴史に名を刻んだのは事実であり、長く男性中心の政治が続いてきた日本でついにガラスの天井が破られたことの象徴的な意味合いは大きい。だがそれ以上に、高市は日本の政治を、そして対中政策を変えていく可能性がある。

高市は故安倍晋三元首相と理念を同じくする超保守派で、外交姿勢は強硬だ。防衛力の強化を強く主張し、中国に対してはタカ派色を隠さない。インド太平洋地域で日本の存在感を高めることにも意欲的だ。同盟諸国は彼女の明確さと決断力を歓迎するだろうが、中国は既に彼女の台頭に神経をとがらせている。

高市は一貫して、中国を戦略的脅威と位置付けてきた。台湾や歴史認識といった長年の緊張の火種についても、より硬直した政策を取りそうだ。過去の首相も「台湾有事は日本有事」と語ってきたが、高市はこの立場を一段と強めるだろう。

今年は中国の「抗日戦争勝利」から80年の節目に当たり、その記憶は今も中国の指導者や国民感情に影響を与えている。高市の首相就任は、そんな日中関係が歴史的に微妙な局面に重なった。早くも中国のSNSでは、高市は「反中・極右」で南京大虐殺を否定し、台湾問題に挑発的だとの批判が相次いでいる。

経済面でも高市は「デカップリング(脱中国依存)」を推進してきた。岸田政権で新設された「経済安全保障」担当大臣に就任すると、中国を迂回するサプライチェーンの構築を提唱したものだ。

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