- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥
バス事故頻発の背景にある「日本式」規制緩和の欠陥
こうした民事裁判制度を補完するのが「損害賠償保険」です。懲罰賠償とまでは行かなくても民事法廷が機能していれば、一方が他方に損害を与えた場合は、その賠償命令が厳格なものとして出るはずです。その際に、支払いの責任を負った側に支払い能力がなくては大変です。ですから商慣行として「相手が損害賠償保険に入っている」ということを確認できれば、リスクを低減することができます。
もちろん日本も近代社会ですから、民事裁判制度があり、損害賠償保険もあります。ですが、これが上手く機能していないのです。特に問題なのが民事裁判制度です。日本の民事裁判には5つ大きな問題があります。
それは、「時間がかかる」「費用がかかる」「専門的な判断ができない」「判決の強制執行が徹底していない」「時効が短いし、判決履行の時効も短い」という問題です。つまり「紛争解決のインフラとして使い勝手が悪い」のです。
この問題は、かなり以前からわかっています。それこそ小泉改革以前から、司法改革という言い方で制度の改正が進められていたのです。この司法改革では、裁判官や弁護士の人数を増やそう、そのために司法試験を改革しようという動きがあり、その目的として「民事裁判制度をもっと使える制度に」ということも入っていました。
例えば裁判員制度の導入も「単に市民感覚を司法に」という曖昧な目的だけでなく、「民事を含めた訴訟が増えても対応できる」ように、つまり裁判所の処理能力の向上を狙った動きだったとも言えます。ですが、この司法改革に関しては全体として上手くいっていません。企業のリーガルマインド向上で、裁判の件数が増えるかと思ったら、企業は「コンプライアンス形式主義」で自縛の回路に入るばかりで、訴訟件数が増えたり、弁護士のニーズが拡大したりすることはなかったのです。
このため、民間の紛争解決の手段として「民事裁判制度」が機動的に利用される社会は実現していません。多くの紛争が「強者による強制と弱者の泣き寝入り」になったり、「世間に知られることでの社会的制裁」ばかりが横行したりして、健全な解決になっていないケースが依然として多いのです。
とにかく、民事裁判制度の紛争処理能力を低いままにしておいて、一方で規制緩和を進めるというのは無謀です。そんなことは「規制緩和の本家」であるアメリカでもやっていないのです。
「物価高対策と財政規律の間の最適解」──ポスト石破に求められる最重要課題 2025.09.10
アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える 2025.09.03
「体験格差」という言葉に覚える強烈な違和感 2025.08.27
日本の核武装コストは、どのように計算すれば良いのか 2025.08.20
被爆80年の今、真剣に議論しなければならないこと 2025.08.06
戦後80年に必要な3つのメッセージを考える 2025.07.30
参院選が引き起こした3つの重たい事実 2025.07.23
-
外資系製造業大手の総務アウトソーシングのアシスタン 永田町駅
株式会社スタッフサービス ITソリューション
- 東京都
- 月給23万5,000円~
- 正社員
-
業界未経験OK「カスタマーサクセス~外資系企業を中心に採用の支援~」コールセンター業務経験者など活躍中
株式会社キャリアクロス
- 東京都
- 年収400万円~550万円
- 正社員
-
東京勤務「法人営業/提案営業」中国本社/外資系/ビデオ IoT/業界不問・中国語ビジネス以上歓迎 30代社員活躍中
Dahua Technology Japan合同会社
- 東京都
- 年収800万円~1,200万円
- 正社員
-
事務/英語が活かせる外資系企業でスカウト・データ管理/在宅週2OK その他オフィスワーク・事務
ランスタッド株式会社
- 東京都
- 月給31万5,000円
- 正社員