コラム

中高生の「男女別学」にはメリットがあるのか?

2014年08月26日(火)11時06分

 しかしながら、こうした考え方は実社会の変化を見ていると、やはり問題が多いように思います。確かに男尊女卑的な偏見から女子を守るための別学というのは成立するかもしれません。ですが、男女ともに実社会に出ればそこには男も女もいるわけです。仮に日本の男性が「脆弱なカルチャー」を抱えて「カラ威張り」をしているだけであっても「男というのはそういうものだ」という知識と対処ノウハウを女性が経験として持っていないと、結局は下らない男性の嫉妬心や裏取引などを力勝負で「ねじ伏せる」のは難しくなるかもしれません。

 それ以前に、現代の国際社会で活躍できるような人材には、精神的な成熟とコミュニケーション能力が問われるわけで、男性に関して言えば、十代に「マセた女子から隔離」して育てるなどというのは、全くもって回り道だと思えます。同国人の異性とのコミュニケーションが出来ない人間には、そもそも国際社会で生きてゆくことなど不可能でしょう。

 男女交際についても、アメリカの高校を見ていれば、勉強熱心な学生でもみんな交際のパートナーがいるし、パートナーとの真剣な会話を通じて自分の進路や専門性を考えたりしているわけです。そうした経験を高校生の時に積んできた人間と、男女が隔離された環境で、異性との自然なコミュニケーションの経験が不足したまま育った人間では、ビジネスにしても社交にしてもどちらが「パワーエリート」になれるかというのは一目瞭然だと思います。

 そこまで大げさな議論にしなくても、非婚少子化や女性専用車両の存在など、男女隔離社会の弊害はいくらでも指摘できるように思います。日本社会が更に開かれた社会になるためには思い切って高校の共学化を進めるべきであって、別学を拡大するなどというのは言語道断だと思います。

 少なくとも、優れた教育を施している国立や私立の中高で「男子校」の伝統を守って女子を排除している存在は是正がされるべきですし、それこそ「北関東以北」で公立高校の男女別学が残っていることなど、一刻も早く解消すべきではないかと思うのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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