Picture Power

【写真特集】「擬態」する携帯アンテナの不自然な風景

FAUXLIAGE

Photographs by ANNETTE LEMAY BURKE

2021年06月01日(火)16時00分

『空港へ続く道』カリフォルニア州パームスプリングス(2019年)

<携帯基地局の「擬態」アンテナも、過去の遺物として消えゆく運命にあるのかもしれない>

ヤシの木やサボテン、教会の十字架、時計塔......アメリカ西部の各州で、携帯基地局のアンテナはさまざまな姿に「擬態」している。

シリコンバレー出身の写真家アネット・ルメイ・バークは、2000年代初め、樹木のように装飾された携帯基地局のアンテナを目にした。そのユーモラスな姿に興味をそそられ、各地の「擬態」アンテナの撮影を始め、最新写真集『Fauxliage』をまとめた。

おそらくは景観を損なわず、周囲の環境になじませるための「擬態」なのだろう。だが次第に、テクノロジーがひそかに環境を変えているような違和感を覚えたという。

「擬態」したアンテナを通じて、携帯端末からさまざまな個人情報が収集され、21世紀の巨大なハイテク産業が維持されていることもまた、皮肉な事実だ。

現代社会に不可欠な携帯通信網は、既に第5世代(5G)への移行が始まっている。携帯基地局のアンテナも、これまでより高性能になり、小型化が進むだろう。

公衆電話ボックスやニューススタンドのように、携帯基地局の「擬態」アンテナも、過去の遺物として消えゆく運命にあるのかもしれない。

pptower02.jpg

『3本のサボテン』アリゾナ州フェニックス(2016年)

pptower03.jpg

『バイソンのサイン』ワイオミングとコロラドの州境(2018年)

pptower04.jpg

『十字架』アリゾナ州メサ(2016年)

pptower05.jpg

『現状』カリフォルニア州バーストー(2019年)

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

出口局面で財務悪化しても政策運営損なわれず、正常化

ワールド

焦点:汚染咳止めシロップでインドなど死亡数百件、米

ワールド

アングル:COP28、見えない化石燃料廃止への道筋

ワールド

OPECプラス閣僚会合、現行政策調整の可能性低い=

今、あなたにオススメ

MAGAZINE

特集:日本化する中国経済

特集:日本化する中国経済

2023年10月 3日号(9/26発売)

バブル崩壊危機/デフレ/通貨安/若者の超氷河期......。失速する中国経済が世界に不況の火種をまき散らす

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    広範囲の敵を一瞬で...映像が捉えたウクライナ軍「クラスター弾」攻撃の瞬間 その恐るべき性能

  • 4

    ワグネル傭兵が搭乗か? マリの空港で大型輸送機が…

  • 5

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 6

    ウクライナ「戦況」が変わる? ゼレンスキーが欲しが…

  • 7

    日本の他殺被害者のうち0歳児が断トツで多い理由

  • 8

    イラン製「カミカゼドローン」に日米欧の電子部品が.…

  • 9

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 10

    ワグネルに代わるロシア「主力部隊」の無秩序すぎる…

  • 1

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 2

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 3

    最新兵器が飛び交う現代の戦場でも「恐怖」は健在...「スナイパー」がロシア兵を撃ち倒す瞬間とされる動画

  • 4

    本物のプーチンなら「あり得ない」仕草......ビデオ…

  • 5

    マイクロプラスチック摂取の悪影響、マウス実験で脳…

  • 6

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 7

    広範囲の敵を一瞬で...映像が捉えたウクライナ軍「ク…

  • 8

    これぞ「王室離脱」の結果...米NYで大歓迎された英ウ…

  • 9

    「ケイト効果」は年間1480億円以上...キャサリン妃の…

  • 10

    ロシア黒海艦隊、ウクライナ無人艇の攻撃で相次ぐ被…

  • 1

    イーロン・マスクからスターリンクを買収することに決めました(パックン)

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 4

    <動画>ウクライナのために戦うアメリカ人志願兵部…

  • 5

    コンプライアンス専門家が読み解く、ジャニーズ事務…

  • 6

    「児童ポルノだ」「未成年なのに」 韓国の大人気女性…

  • 7

    「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシ…

  • 8

    サッカー女子W杯で大健闘のイングランドと、目に余る…

  • 9

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

  • 10

    ロシア戦闘機との銃撃戦の末、黒海の戦略的な一部を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story