コラム

コロナ禍にみる、今年だけのNYクリスマス物語

2020年12月17日(木)17時40分

一方で、いつものニューヨークらしさも光り始めた。カーブダイニング(車道にせり出したテントで食事すること)に出掛けると個性豊かなイルミネーションをつけたテントがまぶしく、まるでマルシェ(市場)かフェア(移動遊園地)だ。

今年も、わが家にモミの木がやって来た。外から部屋に入るものは全て殺菌するので、このツリーも殺菌スプレーを1本使用してシュー。ちょっとかわいそうだ。しかし、これもニューノーマルの風物詩。人々の心に映る灯は消えてはいない。

ニューヨーカーは限られた素材で街を楽しむ天才である。だからまるでコロナのストリートは万華鏡だ。今じゃ、血液検査をすると抗体検査がおまけで付いてくるけれど、複数で集まる前の検査は感染防止に必須になった。

来週ギグだから3日前に検査ね。オッケー。新しいことを咀嚼するのに時間はかからないニューヨーカーたちは、今日も速足で、2021年へと歩いている。

プロフィール

大江千里

ジャズピアニスト。1960年生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー後、2007年末までに18枚のオリジナルアルバムを発表。2008年、愛犬と共に渡米、ニューヨークの音楽大学ニュースクールに留学。2012年、卒業と同時にPND レコーズを設立、6枚のオリジナルジャズアルパムを発表。世界各地でライブ活動を繰り広げている。最新作はトリオ編成の『Hmmm』。2019年9月、Sony Music Masterworksと契約する。著書に『マンハッタンに陽はまた昇る――60歳から始まる青春グラフィティ』(KADOKAWA)ほか。 ニューヨーク・ブルックリン在住。

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