コラム

ウクライナ侵攻1年でみえた西側の課題──価値観「過剰」外交は改められるか

2023年02月28日(火)17時15分

「白か黒か」のこの構図でいうなら、中ロと対立しない南アフリカは先進国からみて「あっち側」になりかねない。

しかし、南アフリカでも国内にさまざまな問題があるにせよ、先述のように権威主義国家とは断定できないし、中ロと完全に歩調を合わせているわけでもない。だからこそ、今回の中ロとの合同軍事演習に関して、アメリカ政府は「懸念」以上の批判を控えるしかない。

自由や民主主義を強調することは、先進国の国内世論を満足させるかもしれないが、矛盾をむしろ浮き彫りにする。

少なくとも、自由や民主主義を強調することが西側に有利に作用してきたとはいえない。建前だけ強調するリーダーはフォロワーから信頼を得にくい。ロシア制裁に参加する国が一向に増えないのは、これを象徴する。

国内で自由や民主主義を尊重することと、それを外交に転用することは同じではない。

だとすれば、価値観を必要以上に叫ぶより、コロナ対策や経済支援といったプラグマティックな、言い換えれば価値中立的な協力を加速させる方が、新興国・途上国の支持を集めるうえではよほど重要だろう。上から目線の押し付けがましさを嫌うのは、先進国の人間だけではないのだから。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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