「美白」クリームと人種差別──商品名の変更を迫られるコスメ産業
黒人を賛美する者は、黒人を嫌悪する者と同じく『病む者』である。...自分の血統を白くしようと望む黒人は、白人への憎悪を説く黒人と同じく哀れむべき人間である。 (出典:『黒い皮膚・白い仮面』p31 翻訳版の日本語を一部変更)
つまり、そこで重視されたのは、誰かが作ったイメージで自分を無価値と思い込んだり、あるいは逆に慰めたりすることから、人間を解き放つことだったといえる。その意味で、#DarkIsBeautifulのなかでしばしば見受けられる「黒い方が美しい(ここでいう黒いはDarkであって黒人のBlackは含まない)」という主張は、「白人こそ最高」という価値観への反発ではあるが、結局呪縛から逃れられていないことになる。
インドの美白クリーム問題は、ファノンが示した道のりの険しさを、改めて示すものといえるだろう。
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