なぜ日本には緊急事態庁がないのか──海外との比較から
先述のように、アメリカのFEMAなど諸外国の緊急事態専門の機関は、非常時に関係省庁の活動を指示する権限をもつ。言い換えると、専門機関のもとで各省庁の独立は一時的に停止する。
これに対して、日本の場合、災害などが発生するたびに全閣僚が出席する対策本部が立ち上げられる。この方式だと、各省庁は外部から指示を受けなくて済む。
つまり、日本では各省庁の独立と引き換えに、省庁横断的なワンストップの危機管理が実現してこなかったといえる。ここに、「族議員」の庇護のもとで各省庁のタテ割りが強まった55年体制の遺産を見出さずにはいられない。
「官邸主導」が目立つ安倍政権のもとでは、内閣官房もFEMAなど諸外国の常設機関を研究してきた。しかし、新型コロナ対策でも「自分が先頭に立って」と力説する安倍首相にも、首相が通常業務の合間に緊急事態に対応するのではなく、自らの代理として活動する常設の専門機関を設置するという意思は見受けられない。
筆者は以前、アフリカ大陸で初めて新型コロナ感染を確認したエジプトに関する記事で、エジプトの問題は「感染者を出した」ことではなく、情報を明らかにしないことにあると指摘した。しかし、それはエジプトに限った話ではなく、程度の差はあっても新型コロナは各国のガバナンスの問題を浮き彫りにしている。日本もその例外ではなく、新型コロナは戦後日本のあり方を改めて問いかけているのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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