コラム

米中「電撃」合意...トランプ関税に振り回された株価はどこまで戻るのか

2025年05月13日(火)09時40分

FRBによる迅速な対応が難しいので、トランプ大統領らは、減税政策などによって経済を押し上げない限り関税の悪影響を相殺できないと判断し、高関税政策の大幅な修正を余儀なくされたのだろう。

実際に、トランプ関税の延長は「追加的な財政政策」ではないので、高関税政策を実現するためにはチップを非課税にするなどの追加減税を大規模に実現することが必要になる。ただ、大規模な減税策への共和党議員の反対は強いため、高関税政策のダメージを相殺する、大規模な減税政策が実現する可能性は低い、ということだろう。

日本株も上昇するが、米国株ほどには期待できない

先に述べたとおり米国株同様に日本株も上昇しており、5月に入ってからの上昇ペースは米国株よりやや早かった。米国株の大幅高につれて、日本株も一段高になるだろう。これまで日本株市場の大きなリスク要因であった、日本銀行の追加利上げ姿勢が大きく変わったことも、株高を後押しするだろう。

4月29日コラム「トランプ政権の迷走で高まる『世界不況』リスク...日本が取るべき金融財政政策とは?」では追加利上げの根拠が弱いことを指摘したが、利上げに前のめりだった植田和男総裁は5月1日に、経済インフレ見通しの下方修正に伴い、利上げ時期を先送りする考えを示した。経済情勢が極めて不確実なのだから「利下げ」がむしろ検討されるべきだが、政策判断を大きく修正したことは明らかである。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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