コラム

米中「電撃」合意...トランプ関税に振り回された株価はどこまで戻るのか

2025年05月13日(火)09時40分

ただ、日本銀行が利下げに至るにはかなり距離がある。

このままトランプ政権の高関税政策が大きく修正されるのであれば、日本の製造業へのダメージは軽減されるだろう。

それでも、トランプ大統領の気まぐれで政策が変わりうるし、関税政策がどうなるか分からないという不確実性は払しょくされないので、米国を含めて世界経済は2025年に緩やかな減速が続くだろう。2024年に低成長が続いたことを踏まえれば、日本は金融財政政策を大きく転換すべき時期にある。

ただ、石破政権は減税政策には消極的なままで、筆者の予想どおり今後も経済成長を抑制する政策を続ける見通しだ。参議院選挙を経て政治権力が大きく変わらなければ、日本経済の停滞が続くため、日本株の投資パフォーマンスが米国株を上回ることには期待できないと引き続き考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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