コラム

FRBの利上げ姿勢が和らぐ兆し~円安が続くという見方は妥当か~

2023年10月17日(火)18時10分

金融政策の未来展望

実際に、2008年(原油高)や2011年(東日本大震災後)に、貿易収支が黒字から赤字に転じた時には、為替市場では円高で推移した。また、22年に大きく増えた貿易赤字は23年年初から8月まで原油高一服で急ピッチに減っているのだが、同じ時期に円安が進んだ。貿易収支がドル円の趨勢に及ぼす影響は、曖昧にみえる。貿易赤字や国際競争力が円安をもたらすとの見方は、2022年から円安が大きく進んだことで、「後付け」として使われている説明だと筆者は考えている。為替市場では様々な見方が交錯するのが常だが、最近目立つ多くの円安論の根拠は危ういので、一定の距離をもってみることが必要だろう。

FRBの追加利上げに対する姿勢が和らぐ中で、一方で、日銀が金融緩和の手仕舞いにゆっくり向かいつつある。これらの金融政策への思惑が、今後のドル円相場の行方を左右するだろうと筆者は考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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