コラム

<3分解説>フィリピンってどんな国? 各国の利権が絡み合う「海洋上の要衝」

2025年06月07日(土)11時53分
フィリピンの基礎知識

人気の観光地であるコロン島 Sean Hsu/Shutterstock

<明るく楽天的な国民性で、日本とは古くから交易の歴史を持つフィリピン。近年は南シナ海を舞台にした中国との対立でニュースになることも>

大阪・関西万博が4月に開幕、さまざまなイベントが繰り広げられ、連日話題に事欠かない。中でも最大の醍醐味は、万国博覧会という名前の通り、世界各国・地域の伝統や文化に触れられることだ。

このたび、異文化理解や世界の諸問題の解決に向けた活動を行う東京外国語大学のボランティアサークル「くらふと」のメンバーが中心となって執筆に当たった書籍『外国人のあたりまえ図鑑』が刊行される。同書から一部引用し、各国を、手軽にさくっと理解できるように紹介していく。

newsweekjp_20250606051246.png フィリピン共和国
 Republic of the Philippines

フィリピンは太平洋に浮かぶ 7000以上の島々から成り、各国の利権が絡み合う海洋上の要衝です。カトリックが多数を占め、マレー系を主体に多民族が暮らし、スペイン、米国の植民地時代を経て1946年に独立、独自の文化を形成してきました。

強権的だったドゥテルテ前大統領から2022年に現マルコス政権へと移行し、経済成長と安定を目指す一方、政界の汚職や貧富の格差が課題です。南シナ海では中国との摩擦が絶えず、米国との連携を強化し、中国の海洋進出に対抗する姿勢を見せています。

日本とは、古くからの交易の歴史があります。戦時中の日本の占領統治は痛ましい記憶ですが、戦後は経済協力やODAを通じて友好関係を築いてきました。日本へ移住、定住する人は増え続け、タレントやスポーツ選手も活躍し、存在感を放っています。

newsweekjp_20250606051259.png

(『外国人のあたりまえ図鑑』より)

newsweekjp_20250606051415.png

(『外国人のあたりまえ図鑑』より)

基礎情報

首都:マニラ (Manila)

独立:1946年

人口:1億903万5,343人(2020年時点)

在留邦人数:1万2,989人(2023年10月時点)

在日フィリピン人数:33万2,293人 (2024年6月時点)

面積:約29.8万㎡(日本の約8割)

言語:フィリピノ語(国語、公用糖)、英語(公用語)など180 以上

民族:マレー系が主体、ほかに中国系、スペイン系など

宗教:キリスト教(カトリック83%。その他10%)、イスラム教 (5%)

世界遺産:トゥバタハ岩礁自然公園、 フィリピン・コルディリューラの棚田群、古都ビガンなど

プロフィール

くらふと

主に小中高生向けに異文化理解や世界の諸問題に関するワークショップなどの活動を行う東京外国語大学のボランティアサークル。(協力:南龍太)
Instagram:@tufs_kraft
X:@TUFS_KRAFT

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

緩和の出口戦略含め、財政配慮で曲げることはない=内

ワールド

習首席が米へのレアアース輸出に合意、トランプ大統領

ビジネス

アングル:中国製電子たばこに関税直撃、米国への輸入

ワールド

日米関税協議、「一致点見いだせていない」と赤沢氏 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 2
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット騒然の「食パン座り」
  • 3
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが、今どきの高齢女性の姿
  • 4
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 5
    脳内スイッチを入れる「ドーパミン習慣」とは?...「…
  • 6
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 7
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    壁に「巨大な穴」が...ペットカメラが記録した「犯行…
  • 10
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 4
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 5
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 6
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story