コラム

犯罪から子どもを守るなら「人」より「場所」に注目せよ──「だまされない技術」は簡単に習得できる

2025年10月15日(水)13時05分

犯罪学では、人に注目する立場が「犯罪原因論」であるのに対し、場所に注目する立場は「犯罪機会論」と呼ばれている。

犯罪機会論は、犯罪者の動機や性格には興味を持たない。犯罪者がどんな人だろうが、犯行パターンには共通点があり、その共通点を抽出することに興味を示す。その共通点を一言で表すと、犯罪者は景色を見て、そこが「入りやすく見えにくい場所」だと判断すれば犯行を始めるが、そこが「入りにくく見えやすい場所」だと判断すれば犯行をあきらめるということだ。

この基準に従って、景色の中で安全と危険を識別する能力のことを「景色解読力」と呼んでいる。景色からのメッセージをキャッチできれば、危険を予測し、警戒レベルを上げられるので、だまされずに済む。

こうした景色解読力を高める方法が「地域安全マップづくり」だ。地域安全マップとは、犯罪が起こりやすい場所を風景写真を使って解説した地図である。具体的に言えば、だれでも(犯人にも)入りやすく、だれからも(犯行が)見えにくい場所を洗い出したものが地域安全マップだ。だれでも楽しみながら「犯罪機会論」を学ぶことができ、その過程で景色解読力が自然に高まる手法として、2002年に筆者が考案した。

地域安全マップづくりは、2008年に、内閣総理大臣をトップとする政府の犯罪対策閣僚会議が策定した『犯罪に強い社会の実現のための行動計画』で採用され、現在では、小学校の教科書でも取り上げられている。最近では、Googleストリートビューを用いたフィールドワーク・シミュレーションを行うことで、オンライン方式でも「地域安全マップ教室」を開催できるようになった。

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オンラインで開催された「地域安全マップ教室」(毎日新聞提供)

プロフィール

小宮信夫

立正大学教授(犯罪学)/社会学博士。日本人として初めてケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科を修了。国連アジア極東犯罪防止研修所、法務省法務総合研究所などを経て現職。「地域安全マップ」の考案者。警察庁の安全・安心まちづくり調査研究会座長、東京都の非行防止・被害防止教育委員会座長などを歴任。代表的著作は、『写真でわかる世界の防犯 ——遺跡・デザイン・まちづくり』(小学館、全国学校図書館協議会選定図書)。NHK「クローズアップ現代」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビへの出演、新聞の取材(これまでの記事は1700件以上)、全国各地での講演も多数。公式ホームページはこちら。YouTube チャンネルはこちら

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