コラム

慰安婦問題に迫る映画『主戦場』 英エセックス大学の上映会でデザキ監督が語ったことは

2019年11月22日(金)18時00分

──証言記録はあるのでしょうか。兵士の証言記録はどうでしょうか。一般公開されていますか。

「韓国語ですが、あります。ほかにも(山崎朋子の)『サンダカン八番娼館』もありますし」

「(中国帰還兵のインタビューをおさめた)『日本鬼子(Japanese Devils)』というドキュメンタリー映画があります。しかし、中国からの帰還兵の証言ということで、重要視されていません」

「東京には、『アクティブ・ミュージアム 女たちの戦争と平和資料館』があって、ここにも証言がおさめられています」

──映画の中に出てきた偏向している人々について、どこに行けば資料があるのでしょうか。

「右派系は左派系を、左派系は右派系を『偏向している』といいますが、まず『偏向している」というのはどういう意味でしょうか」

──極端な考えを持っている、ということでしょうか。

「例えば、(歴史学者)吉見義明の本を読めば、偏向しているということになるのかどうか、ですよね」

「人間である限り、誰にも偏向はあります。歴史学者が書いた本を読んで、私は理解を深めています。歴史修正主義者で、ほかの人の本を読まない人が書いた本ではなく(注:映画の中に、ほかの人が書いた本を読まないという人が出てくる)。歴史修正主義者のほとんどが歴史学者ではありません」

「私が見るところでは、99.99%の歴史学者は、こうした女性たちが性の奴隷であったと考えていると思います」

「まるで地球温暖化を否定するようなものです。ほとんどの科学者が実際に発生していると考え、1%がこれに同意していません」

「映画を通して、私は(慰安婦問題について)両方の意見を出そうとしました。最後は、見る人が決めることです」

──保守・右派系のシフトについて、日本は特別なのでしょうか。それとも世界の動きなのでしょうか。

「日本がますます右傾化しているということを、多くの人が指摘しています。先生が国歌を歌っているかを生徒がチェックするという学校もあるそうです」

「超国家主義の学校を作ろうとしている、という話もあります。教育勅語を言わせる学校です。右傾化が進んでいると思いますが、それは自民党が作っているのでしょう」

「米国のスティーブ・バノン(トランプ米大統領の元側近)が日本に来た時、安倍首相はトランプ以前にすでにトランプだったと言ったそうです」

プロフィール

小林恭子

在英ジャーナリスト。英国を中心に欧州各国の社会・経済・政治事情を執筆。『英国公文書の世界史──一次資料の宝石箱』、『フィナンシャル・タイムズの実力』、『英国メディア史』。共訳書『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)。連載「英国メディアを読み解く」(「英国ニュースダイジェスト」)、「欧州事情」(「メディア展望」)、「最新メディア事情」(「GALAC])ほか多数
Twitter: @ginkokobayashi、Facebook https://www.facebook.com/ginko.kobayashi.5

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インドネシア議会委員会、金融サービス庁幹部の人事案

ワールド

英当局、子どものSNS利用禁止に実効性持たせる対応

ビジネス

ドル一時159円前半で年初来高値に接近、介入警戒で

ビジネス

午前の日経平均は反落、原油高を嫌気 下げ渋る場面も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 8
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story