コラム

慰安婦問題に迫る映画『主戦場』 英エセックス大学の上映会でデザキ監督が語ったことは

2019年11月22日(金)18時00分

──この問題について、保守・右派系を動かしているのは何でしょうか。

「自分たちの祖父は間違ったことをしていない、韓国人はうそつきだということでしょうか。自分たちがこんなことをやるはずがない、と。ある登場人物がこう言いました。『そんなことは中国人ならするだろうけど、自分たちはしない』と」

「問題を指摘すると、日本人は自分が個人的に攻撃されていると思う」

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藤田先生(撮影筆者)


モデレーターの一人で、エセックス大学の人権フェロー、藤田早苗先生は以下のように述べた。

「慰安婦問題は政治問題でもありますが、これは人権の視点からはユニバーサルな問題でもあります」

「愛国主義というのは、厄介なトピックです。日本の問題を指摘すると、日本人は自分が個人的に攻撃されていると思うのです」

「そういう面もあって、慰安婦問題についてきちんとした議論や謝罪ができないのではないかと思っています」

「日本の問題を批判すると、その人がバッシングにあいます。私自身も反日本と思われて、サイバー上でバッシングにあいました」

「今、韓国をヘイトする、中国をヘイトするという気運が高まっていて、私はとても懸念しています」

***

上映後の雑談の中で、監督が次の作品の構想を立てていることを知った。どのような作品かについてはまだ公表していないという。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

小林恭子

在英ジャーナリスト。英国を中心に欧州各国の社会・経済・政治事情を執筆。『英国公文書の世界史──一次資料の宝石箱』、『フィナンシャル・タイムズの実力』、『英国メディア史』。共訳書『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)。連載「英国メディアを読み解く」(「英国ニュースダイジェスト」)、「欧州事情」(「メディア展望」)、「最新メディア事情」(「GALAC])ほか多数
Twitter: @ginkokobayashi、Facebook https://www.facebook.com/ginko.kobayashi.5

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