下請けへの業務押し付け、無意味なマウント──賃金上昇を妨げる理不尽な商習慣

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<日本のビジネスの現場に残る下請け「いじめ」のような時代遅れの商慣行は、経済全体の合理性と生産性を引き下げ、賃金上昇を妨げる要因になっている>
このところインフレが深刻になっていることから、日本の賃金の低さが際立つ状況となっている。日本企業の従業員1人当たりの付加価値は諸外国の3分の2以下であり、そもそも賃金を上げる原資となる利益を生み出せていない。
状況を改善するには、薄利多売に代表される従来型の事業構造を根本的に見直す必要があるが、その前にやれることはたくさんある。古い商慣行の見直しを実現するだけでも、かなりの効果が見込めるはずだ。
日本では、多くの業界で従来型の商慣行が幅を利かせている。諸外国と比較すると、日本の中小企業は大企業の隷属的な下請けとなっているケースが多く、これが全体の効率を低下させている。中には、業務を下請けから孫請けへと丸投げする企業もあり、各企業に管理部門が存在していることから、階層が下がるほど賃金が大幅に低下する。
6月には、尼崎全市民46万人分の個人情報が入ったUSBメモリーが一時紛失するという信じられないトラブルが発生したが、USBメモリーを紛失したのは、業務を再々委託された企業の社員で、尼崎市は再々委託されていることを把握していなかったという。先端的なイメージが強いIT業界においても、重層的な下請け構造が温存されていることが期せずして明らかになってしまった。
支払いを遅くして上下関係を誇示する
資金の支払いサイト(取引代金の締め日から支払いまでの期間)にもこうした上下関係が反映されている。元請け企業が下請けに代金を支払う際、支払いサイトを過剰に長くする企業が少なからず存在する。
金融サービスが高度に発達した現代社会において、過度に支払いサイトを長くする経済的合理性は存在しない。それにもかかわらず、長期の支払いサイトが存在している理由は、上下関係を誇示するという、ある種のマウンティングと考えられる。こうした非合理的な取引慣行を改めるだけでも、経済全体の運営効率は大幅に向上するだろう。
法令遵守についても同じことが言える。日本では雇用の維持が最優先され、行政も企業に労働法制の遵守を強く求めてこなかった。運送業界では、契約外の業務までドライバーに課されるケースが後を絶たず、これがドライバーの労働環境の悪化につながっている。行政が、ごく当たり前の法令遵守を企業に求めるだけで、あっという間に賃金は上昇する可能性が高い。
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