コラム

経済の危機と戦えない日本の「特殊事情」──石油危機と今では「真逆」の対策

2022年05月18日(水)17時21分

一方で、需要を大幅に拡大すれば物価上昇に歯止めがかからなくなる。岸田政権の物価対策は内容的に物足りないとの印象を持った人が多く、筆者もそう感じるが、日本経済の現状を考えると、業界支援と困窮対策に限定せざるを得ないのもまた現実である。

国内では、日本はデフレが続いているので財政出動で景気を加速させるべきという意見が出ているほか、中には物価高騰対策として財政出動による需要拡大を実施すべきという議論まである。日本がいまだにデフレであるという見解については疑問視せざるを得ないものの、前者の意見は論理的な整合性は取れている。だがコストプッシュ・インフレを認めつつ、需要拡大で対処すべきというのは経済理論と矛盾する。

インフレを根本的に抑制するためには、コストが増大した状態でも従来と同じ生産量を確保できるよう、供給側の生産性を向上させるしかない。これが実現できなければ賃金が上がらないので国民生活は向上しない。財政支出を行うのであれば、それは需要拡大ではなく、イノベーションの促進や困窮対策に充当すべきだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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