コラム

米中GDP逆転は日本の重大な危機...「中国と関わらない」戦略作りが急務だ

2021年06月02日(水)11時50分

GDPが世界トップとなり、内需拡大でより多くのモノを購入するようになるということは、アメリカに代わって中国が世界のお客さんとして君臨することを意味している。GDPの拡大に伴って、中国の国際交渉力はさらに高まり、少なくともアジア地域においては現在のアメリカに取って代わる存在となるだろう。

日本はいやが応でも巨大化した中国と正面から対峙しなければならない。

中国の台頭が不可避であるという現実を考えた場合、日本経済が中国に取り込まれることを回避するためには、できるだけ中国と関わらない戦略が必要となる。日本企業の国際競争力は低下しているが、経済構造はいまだに輸出主導型であり、サービス業の賃金は製造業よりも圧倒的に低い。

日本がこのまま輸出主導型経済を続ければ中国を主要顧客にせざるを得なくなり、日本の交渉力が今よりもさらに低下するのは確実である。こうした事態を避けるには、日本は国内消費で経済を成長させる消費主導型経済にシフトする必要があるが、国内の関心は薄い。

このまま何もしなければ、気付いた時には日本経済が中国経済に従属化している可能性も十分にあり得るだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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