コラム

なぜ経済危機のたびに、日本だけ回復が遅れるのか

2021年02月11日(木)12時08分

つまり日本企業の多くは時代に合わない低付加価値なビジネスモデルになっており、これが危機に対する脆弱性の元凶になっている。

例えば、テレワークの必要性はコロナ前からずっと指摘されてきたことだが、日本企業ではほとんど導入されなかった。コロナ後においても日本のテレワーク実施率は約31%と、アメリカ(61%)、中国(75%)、イギリス(55%)、ドイツ(50%)と比較するとかなり低い(野村総合研究所調べ)。デジタル化の遅れはあらゆる分野に影響するので、当然のことながら今後の成長率にも関係してくる。

ビジネスモデルの転換はどの国にとっても簡単なことではなく、諸外国は地道な努力を積み重ねてビジネスのITシフトを進めてきた。感染が少なく推移しているにもかかわらず、経済への影響が深刻という日本の現状は、危機対応というものが日常的な活動の延長線上にあるという、当たり前の現実をあらためて私たちに知らしめている。

<本誌2021年2月16日号掲載>

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2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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