コラム

景気についての議論で「皮膚感覚」を軽視してはいけない理由:厚労省の不正統計問題から考える

2019年02月05日(火)14時05分

「感覚」を用いる際には少しだけ注意が必要

そして最後の決め手となるのが「感覚」である。

だが感覚を用いる場合には、余計なバイアスを排除するために、少しだけ注意が必要である。

このところ繁華街ではお店が混んでいることが多いが、これだけで景気がよいと判断してはいけない。よく注意してみると、繁華街のエリアが昔と比べて狭くなっていることが分かる。混んではいるが、お店の絶対数は減っている可能性が高いのだ。

つまり市場が縮小し、需要と供給が一致したことで、お店には一定の顧客が入ったのであって、景気が拡大した結果、お店が混み始めたわけではない。

感覚を頼りにする時は、視野を広げることが重要である。アンテナを広げて歩き回り、視覚、聴覚、嗅覚をフル活用することで、はじめて感覚が生きた情報となる。これらをうまく組み合わせれば、景気の現状分析において大きく間違うことはないはずだ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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