コラム

ウクライナ侵攻でナポレオンの末路を歩み始めたプーチン

2022年03月03日(木)18時00分

ロシアが欧州正面だけを構っているうちに、カフカス、そして中央アジア方面もロシアの独壇場ではなくなった。カフカスでは、トルコが同族のアゼルバイジャンと同盟条約を結んで、ナゴルノカラバフ戦争での勝利を勝ち取った。

ロシアがカザフスタンに軍を派遣したのはいいが、そのわずか5日後には中国の王ワン・毅イー外相から「カザフスタンの主権を大事にするように」との「注意」を受け、即日撤退を始めた始末だ。

この上に中国がロシアの弱みに付け込んで、清朝時代に奪われた沿海地方の領土返還を要求してきたら万事休すだ。筆者のロシア人の友人は、ウクライナ侵攻でロシアが世界から爪はじきになるのを嫌がっている。

加えてロシアのインフレは、今年20%を超えることも考えられる。そして24 年には大統領選挙──。プーチンを支えてきたシロビキ(治安・国防関係者)は、自分たちの地位と利権を守るためにプーチンに退位を迫るかもしれない。

そうなればナポレオンの二の舞いだ。今回のエルバ島は北方領土か?

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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