北方領土問題で「変節」したプーチンとの正しい交渉術
日本が今やるべきは、ロシアの主張の前提を崩すこと。つまり、「ヤルタ協定だけでは国境の変更は画定しないし、そもそもアメリカはヤルタでも北方四島を譲っていない」ことを世界に発信する。ロシアの領土ではないのだから、憲法にも抵触しないということだ。そしてロシア政府にこの問題解決の重要性を意識させるため、例えば宗谷海峡、津軽海峡(ロシア本土と北方四島間の主要な補給・物流ルート)をいつでも閉鎖できることを示す。
だが、こうしたことは冷静沈着にやるほうがいい。両国のマスコミはいつもニュースの種を探している。領土問題が過度に騒がれれば話し合いはますます難しくなる。日本食や日本の文化を愛好し、日本車を評価する一般のロシア人を、不必要に敵に回すのは避けるべきだ。
領土問題を除けば日ロ関係は双方にプラスになることが多い。ロシアでは日本の企業も多数操業しており、日本でもロシアやロシア人に自然な親近感を持つ向きは増えている。領土問題ではしっかり陣を張った上で、総合的に関係を構築することだ。

アマゾンに飛びます
2023年3月21日/28日号(3月14日発売)は「グローバル企業に学ぶSDGs」特集。ダイキン、P&G、ドコノミー、AKQA……「持続可能な開発目標」の達成が今やビジネス成功の必要条件に
この筆者のコラム
中国とロシアの「権威主義同盟」は世界を変えるのか 2023.03.14
「祖国防衛」へと大義がすり替えられたロシアのウクライナ戦争 2023.02.22
少子化はこの世の終わりなのか? 2023.02.21
日独の悲哀「敗戦国はつらいよ」 2023.02.11
「専制国家・中国」にトリセツあり 2023.01.25
日本がいま必要な政官界の「大掃除」とは? 2023.01.14
エルドアンはユーラシアに蘇る現代のスルタンか 2022.12.23