コラム

北方領土問題で「変節」したプーチンとの正しい交渉術

2021年03月09日(火)16時00分

日本が今やるべきは、ロシアの主張の前提を崩すこと。つまり、「ヤルタ協定だけでは国境の変更は画定しないし、そもそもアメリカはヤルタでも北方四島を譲っていない」ことを世界に発信する。ロシアの領土ではないのだから、憲法にも抵触しないということだ。そしてロシア政府にこの問題解決の重要性を意識させるため、例えば宗谷海峡、津軽海峡(ロシア本土と北方四島間の主要な補給・物流ルート)をいつでも閉鎖できることを示す。

だが、こうしたことは冷静沈着にやるほうがいい。両国のマスコミはいつもニュースの種を探している。領土問題が過度に騒がれれば話し合いはますます難しくなる。日本食や日本の文化を愛好し、日本車を評価する一般のロシア人を、不必要に敵に回すのは避けるべきだ。

領土問題を除けば日ロ関係は双方にプラスになることが多い。ロシアでは日本の企業も多数操業しており、日本でもロシアやロシア人に自然な親近感を持つ向きは増えている。領土問題ではしっかり陣を張った上で、総合的に関係を構築することだ。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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