コラム

習近平の台湾統一は中国の黙示録になる

2020年12月12日(土)15時29分

米中台間で調停をするのに適任なのは、日本ではないか?しかし、日本でそういうことのできる力量を持つ政治家はいない。であれば、中国が台湾武力制圧の途に踏み出して、自分も他国も無用の混乱に巻き込むことがないよう、中国を外交と武力で牽制・抑止していくしかあるまい。

今の中国指導部は、「力」しか理解しない。そして、民主主義・市場経済の台湾を支援するわれわれの側にはその力がある。これは、アメリカのバイデン新政権の姿勢にも合っているはずだ。

と同時に、台湾企業は、万一に備えて海外にも生産拠点を増やしておくべきだ。TSMCなど、台湾の企業には、半導体、電子製品等のグローバルサプライチェーンのハブに位置する企業がいくつかあり、その工場は中国からのミサイル攻撃に脆弱な西海岸に集中しているからだ。

<2020年12月15日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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