コラム

安倍晋三を朝鮮半島で躓かせたアナクロニズム

2020年09月11日(金)11時35分

朝鮮半島との数多くの因縁を持つ安倍首相は、南北二つの国家と格闘し、しかし、大きな成果を挙げる事はできなかった。そして様々な手段の結果、日本の世論に残ったのは、韓国や北朝鮮との関係に対する深い「諦め」にも似た感情だった。

しかしながら、冒頭に示した記者会見の様子からも明らかな様に、彼に続くリーダーには安倍首相の様に朝鮮半島との深い因縁を持つ者は少なく、彼らが示す政策においても韓国や北朝鮮は大きな位置を占めていない。そして或いはそれは必ずしも悪い事ではないのかも知れない。第二次安倍政権の朝鮮半島政策を、大きな期待と積極的な努力が、その挫折を通じて、これら諸国との関係に大きな失望を呼んだ経験だと理解するならば、我々はもう一度、自らの出来る事とやるべき事を考える必要がある事がわかる。先のコラムで論じた様に、仮に相手側において民主化が進み、世論が大きなカギを握っているならば、相手の世論に訴えかける積極的な公共外交に打って出るのも一つの方法だろう。「古い理解」に基づく「古い方法」が効果を出さなかった今だからこそ、「新しい理解」に基づく「新しい方法」について考え直す時なのである。

プロフィール

木村幹

1966年大阪府生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。また、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。最新刊に『韓国愛憎-激変する隣国と私の30年』。他に『歴史認識はどう語られてきたか』、『平成時代の日韓関係』(共著)、『日韓歴史認識問題とは何か』(読売・吉野作造賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(アジア・太平洋賞)、『高宗・閔妃』など。


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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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