コラム

コロナ規制撤廃で完全に羽目を外すイギリス

2022年04月13日(水)19時10分

僕は4月初旬の土曜日にオックスフォード大学vsケンブリッジ大学のラグビーの試合を、日曜日にはボートレースを観戦した(どちらもオックスフォードの勝利だった)。マスクをしている人はほぼ見当たらず、ソーシャルディスタンスを取ろうとする人もいなかった。たとえば、ラグビーはイングランド代表のラグビー場である8万人収容のトゥイッケナム・スタジアムで行われたが、観戦した1万人は雰囲気を盛り上げるためにと、あえて同じエリアにかたまって座らされた。個人的な愚痴だが、僕はスタジアムまで激込みの地下鉄で移動しなければならなかった。「地上の」鉄道が閉鎖されていたからだ(地上の鉄道なら窓を開けられるしもう少し車両が広かったのに)。

僕はパンデミックの間ずっと、人々はとにかく慎重に、そして徐々にゆっくりと、かつての生活を取り戻していくのだろうと思っていた。ひょっとしたら、再開されることもあるだろうが、今後も避け続けるものもあるかもしれない、と。だがそれどころか実際には、1年間薄いお粥ばかり食べさせられた後にホテルのビュッフェで羽目を外すような事態になってしまった。

今のところ、イギリスの15人に1人が新型コロナウイルスに感染している。計算すると僕は、この週末に約300人の感染者と近くで接触したことになる。だからこの数日で僕が感染していなかったとしたら、僕は何よりまず自分の幸運にホッとするだろうし、それで油断すれば、次には(非論理的な話だけれど)自分はきっと感染しないに違いない、と思い込んでしまうだろう。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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