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カトリックかプロテスタントか......聞くに聞けない北アイルランドのタブー
北アイルランドの人々には特有のなまりがある。それは「アイルランドなまり」とも「イギリスなまり」とも違う、「北アイルランドなまり」だ。表現しづらいがほとんどのイギリス人が、聞いた瞬間に判別できる。言っていることが分かりにくい訳ではないが、イングランド人にとっては「変に」聞こえる。少々鼻音がかっていて、母音が独特で、音節全体を「飲み込む」ようにしてしゃべる癖がある。たとえば、「Northern Ireland(北アイルランド)」は「ノーン・アイアン」のように聞こえる(彼らはよくジョークとして自分たちのことをこう呼んでいる)。
興味深いのは、あることにおいては例外的に「統一アイルランド」が存在すること。ラグビーだ。他のスポーツとは違い、北アイルランドとアイルランド共和国は統一チームを結成している。そのため、統一チームがラグビーワールドカップで試合をするときには、2つの国歌を持つチームだけに、どちらの国歌も流れない。代わりに、特別なアイルランドラグビー賛歌が演奏される(むしろ僕はこちらのほうがいい曲だと思う)。
でも、アイルランドの首都ダブリンで試合をするときには、まずアイルランド共和国国歌が流れてからラグビー賛歌が流れるのが伝統だ。どの選手が北アイルランド出身かは一目瞭然。最初の曲は(礼儀正しく立っているが)歌わず、ラグビー賛歌の方では進んで歌っているからだ。
元アイルランド代表主将のローリー・ベストもそうだった。彼は偶然、もう一人の偉大な北アイルランド出身スポーツ選手であるサッカーの故ジョージ・ベスト選手(プロテスタントだった)と同じ名字だ。そしてさらに、下の名前はこちらも偉大な北アイルランド出身スポーツ選手であるゴルファーのローリー・マキロイ(カトリック)と同じだ。
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