コラム

ジャパン・ナイトで輝く若者バンド

2010年03月28日(日)16時12分

先週の日曜日(3月21日)、僕はめったに行かない場所へ行った。音楽のライブイベントに足を運んだのだ。僕がバウリー・ボールルームで行われた「Japan Nite(ジャパン・ナイト)」に興味を持ったのは、1つにはこのライブハウスが有名だったこと。それからどんな人たちが集まるのかにも、興味があった。
JapanNiteTour.jpg

 バウリー・ボールルームは噂どおり、とても居心地のいい店だった。「ジャパン・ナイト」に集まるのがどんな人たちかの答えも、何となく分かった(日本人と日本好きのオタク、それとすぐに分類できるタイプの人たちだ)。でも何より僕が興味を引かれたのは、出演していたバンドだった。当たり前のことなのかもしれないけれど、コンサートを輝かせるのはミュージシャンだということがよく分かった。

 ジャパン・ナイトは15年の歴史があり、今では音楽イベントとしてすっかり定着している。今年はテキサス州オースティンで開催される有名な音楽フェスティバルSXSWで幕を開け、ニューヨークの後は、シカゴ、ボストン、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルスを回る。

 実は音楽にはそれほど期待していなかった。ロックやポップ音楽が大好きというわけではない。僕にとって音楽は、何かをしているときに聞くバックグラウンドミュージックだ(バーでお酒を飲んでいるとき、本を読んでいるとき......)。

 でもこの日、僕は成熟した才能を見せ付ける出演バンドに釘付けになった。大阪のガールズバンドJinny Oops!はヘビーなサウンドに美しい音色を響かせた。女性がロックを演奏する姿は、なんて魅力的なんだろう。
japanniteb.jpg
Jinny Oops!

 4人組のOKAMOTO'Sは僕にとっては最も親しみやすかった。リードボーカルの気取ったステージパフォーマンスは、ミック・ジャガーの影響を受けたに違いない。彼らのサウンドは、僕が子供の頃から馴染みのあるザ・フーやローリング・ストーンズに近い。
japaniteb.jpg
OKAMOTO'S

 実験的な音楽を手掛けるOmodakaについてはまったく知らなかった。それだけに圧倒された。iPhoneほどの小さな機械を手に持って、電子音楽を演奏していた。観客に語りかけるときは音声変換機を使い、スクリーンに現れた顔が古い民謡のようなものを歌う。
japannitec.jpg
Omodaka

 演奏の合間にバーで休んでいたら、OKAMOTO'Sのメンバーが座っているのが見えた。ステージでの成熟した演奏とは打って変わって、彼らがとても若かったので驚いた(実際のところ彼らはニューヨークでは酒を飲めない年齢だ)。

 家に帰る途中、東京で英語を教えるイギリス人の友人が、日本の子供たちに英語をしゃべらせるのは大変だと言っていたことを思い出した。「彼らはとてつもなく恥ずかしがり屋だから、人前で発言するのは簡単じゃない」と彼は言う。

 だが、僕はジャパン・ナイトで見た日本の若者たちにまったく別の印象を持った。それは、とてつもなく自信に満ちた姿だ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン当局がNHK支局長拘束か、米団体が解放要求

ワールド

メラニア氏、3月に国連安保理会合の議長へ 現職大統

ワールド

トランプ氏、9月にアイルランド訪問の可能性 ゴルフ

ワールド

世界経済フォーラム総裁辞任、エプスタイン氏との関係
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウクライナ戦争5年目の現実
  • 4
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 5
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 6
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「バカにされてる」五輪・選手村で提供の「アメリカ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story