米国債、債務上限問題解決後に1兆ドル追加供給か 発行は短期ゾーン主体に

米議会が連邦債務上限問題を解決した後、今年後半に最大1兆ドル規模の米国債が市場に追加供給される――。複数の有力な金利ストラテジストが24日、こうした見通しを示した。写真は財務省のロゴ。2023年1月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/カメラマンの名前)
[ボストン 24日 ロイター] - 米議会が連邦債務上限問題を解決した後、今年後半に最大1兆ドル規模の米国債が市場に追加供給される――。複数の有力な金利ストラテジストが24日、こうした見通しを示した。
新規発行は、財務省短期証券(Tビル)を含めた年限が短めのゾーンに重点が置かれる形になると予想されている。
発行目的は財政赤字の穴埋めだ。議会予算局(CBO)の試算では、トランプ大統領と与党共和党が推進する税制・歳出法案によって向こう10年で財政赤字が2兆8000億ドル上積みされるという。
この法案には、債務上限引き上げが盛り込まれている。ベセント財務長官は24日、上院が27日に採決する可能性があると語り、その後下院でも承認されると自信を見せた。
債務上限引き上げが注目されるのは、連邦債務が上限に達して、引き上げなしでは政府が新たな借り入れができず、手元資金が枯渇する「Xデー」が近づいているためだ。ベセント氏は、夏の半ばか終わりにはXデーが到来すると警告している。
こうした中でBofAセキュリティーズの米金利戦略責任者を務めるマーク・カバナ氏は24日にボストンで開催されたシンポジウムで「(米国債発行の)レベルが変化する局面に入ろうとしている。今後数カ月以内に大規模発行を目にすることになる」と語った。
カバナ氏の見立てでは、年末までに新規供給される米国債は1兆ドルに達する。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者のジェナディ・ゴールドバーグ氏は、年内の増発規模が1兆ドルに迫り、8月と9月だけで約7000億ドルが供給されると見込んでいる。
ゴールドバーグ氏は、今年の供給分は残存2─7年までのゾーンに集中すると考えており、10─30年の長期ゾーンの発行増は想定せず、逆に減額されても驚かないと話す。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者のイアン・リンゲン氏も同じ意見で、財務省は利回りの不安定化につながると判断すれば、長期ゾーン発行を進んで減らそうとすると予想した。
6月の資産残高が過去最高の7兆4000億ドルに膨らんだマネー・マーケット・ファンド(MMF)は、米国債の新規供給を十分消化できる態勢にある。ただ最近MMFは、米国債からレポレートに運用先を緩やかに切り替えつつある。