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FRB、早期利下げ不要 年内に物価上昇へ=アトランタ連銀総裁

2025年06月24日(火)19時02分

6月24日、 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁(写真)は、企業が関税引き上げに対応して今年後半に値上げを計画し、雇用市場が依然として安定している中、米連邦準備理事会(FRB)が早期に政策金利を引き下げる必要はないとの認識を示した。アトランタで2019年1月撮影(2025年 ロイター/Christopher Aluka Berry)

Howard Schneider

[アトランタ 24日 ロイター] - 米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、企業が関税引き上げに対応して今年後半に値上げを計画し、雇用市場が依然として安定している中、米連邦準備理事会(FRB)が早期に政策金利を引き下げる必要はないとの認識を示した。

ロイターのインタビューで、関税や他の政策を巡る議論の動向を見極める「時間と余裕が幾分ある」と述べた。

今年の経済成長率はおそらく1.1%に減速し、インフレ率は年内に3%近くに再び上昇するという自身の予想を踏まえ、FRBは今年終盤に25ベーシスポイント(bp)の利下げを1回決定するにとどまるとの見方を示した。

一部のFRB当局者からは、早ければ7月にも利下げする可能性があるとの発言が出ているが、ボスティック氏は雇用市場に悪化の兆しはほとんど見られず、インフレは依然としてリスクだと指摘。

「私は2%の(物価)目標を達成できなかった場合にどうなるかをより懸念している。そのため、(達成を)しっかりと確認すべく、制約的な姿勢をより長期間維持する用意がある」と述べた。

その上で「行動するのに十分な情報が得られるのは今年第4・四半期だろう」と語った。

トランプ政権の関税措置を巡り不安定な状況が数カ月間続いた後、企業景況感はこのところ改善しているとの見方も示した。

関税と物価が大幅に上昇し、需要が落ち込む「終末シナリオ」の可能性を企業幹部らは低下させているとし、関税に対処する戦略を見いだせるという自信の声が聞かれると述べた。

そうした戦略には、企業が競合他社の対応やサプライヤーとの交渉、消費者の反応を見極めながら段階的に価格を引き上げることも含まれるという。

企業から「値上げせざるを得なくなるのはほぼ確実だ。問題は値上げするかどうかではなく、いつ値上げするかだ」という声が聞かれるとし、状況がより明確になるまで利下げに消極的なのは主にこうした理由からだとした。

ボスティック氏によると、アトランタ地区連銀管轄地域の多くの企業がこれまで価格を据え置いてきたとする一方、据え置きを続ける方法はほぼ尽きたと述べている。

同氏は「ますます多くの企業が、自社の業界でこれまで堪えるために取ってきた戦略が通用しなくなりつつあると述べている」とし、「これまでは機能していたが、通用しなくなっており、これ以上続けられない」ということだと語った。

ロイター
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