コラム

「僕、プーチンにクリスマスプレゼントを贈る」→父親は感心したが...

2022年12月23日(金)20時25分
クリスマス

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<「世界中からプレゼントが届けば、プーチンだって『やっぱり戦争はやめよう』と思うはずだよ」と言う息子だったが>

【クリスマス】

アメリカ人の少年が父親に言った。

「もうすぐクリスマスでしょう? 僕はロシアのプーチン大統領にプレゼントを贈ろうと思うんだ」

父親が驚いて聞いた。

「なんだって? あのプーチンに? どうしておまえはそんなことを考えたんだい?」

「プーチンだって、見ず知らずのアメリカの少年からプレゼントが届いたらうれしく思うでしょう?」

「どうかな?」

「僕の友達にも頼んで、みんなで贈るんだ。そうすればプーチンだって喜ぶはずだよ」

「しかし、な」

「他の国の人たちにも頼むんだ。世界中からプレゼントが届けば、プーチンだって『やっぱり戦争はやめよう』と思うはずだよ。彼だって優しい気持ちになる。そうすればきっと心を開いてくれるよ!」

父親は感心しながら言った。

「そうか。おまえは本当に良いことを考えたね。素晴らしい考え方だと思うよ。私は父親として、おまえが心の優しい人間に育ってくれたことを誇りに思う」

少年は満足そうにうなずいてから言った。

「そう。僕は本当に良いことを思い付いたよ。それであいつが油断して出てきたところにミサイルを撃ち込めばいいんだから」

◇ ◇ ◇


2022年も早、年の瀬。街はクリスマスムードに染まりつつある。

しかし、考えてみれば昨年のこの時期、現在のような国際社会の到来を想像した人はいたであろうか。

ロシアのプーチン政権がウクライナへの侵略を始めたのは今年の2月24日。その後、ロシア軍はウクライナの首都キーウを包囲した。だが、4月に入るとウクライナ軍はキーウとその周辺地域の奪還に成功した。

今となれば不思議な感覚もするが、この戦争が始まる前、キーウは「キエフ」と呼ばれていた。

呼称の変更はロシア語からウクライナ語に発音を近づけるためのものであったが、1年前、キエフがキーウになる未来など、誰が予想したであろう。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story