戦術で勝って戦略で負ける......イスラエル軍事作戦の勝因と限界
イスラエルの「戦略的課題」は未解決のまま
問題は、ハメネイ師が核兵器の製造能力をあくまでも抑止の手段と位置付けているのか、それとも実際に核兵器を製造して使用するつもりなのかということだ。その点、ネタニヤフは、イスラエルの破壊を誓う国家が核兵器製造能力を持つことを受け入れるより、その能力を「後退させる」ほうが望ましいと判断したのだ。
しかし、今回の軍事作戦は、イスラエルに長期にわたる安全をもたらすのか。アメリカの情報機関によれば、効果はイランの核開発能力の整備を「何カ月か遅らせる」程度にとどまるという。
今回の軍事作戦により、イスラエルの破壊を目指すイランの体制が変わるわけではない。それに、今のイスラエルが戦略上不安定な状況に置かれている根本原因であるパレスチナ人は、このまま国家を持たない状態が続く。
それでもイスラエルとしては、目の前のリスクを取り除くために行動するほかないのだろう。国家の存続が脅かされていると考えているのだから。

アマゾンに飛びます
2025年10月7日号(9月30日発売)は「2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡」特集。投手復帰のシーズンも地区Vでプレーオフへ。アメリカが見た二刀流の復活劇
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
カーク暗殺の直後から「極左」批判...トランプ政権が完全無視した「都合の悪い真実」とは? 2025.09.29
「会議は踊る、されど進まず」......アラスカの茶番劇でアメリカが失ったもの 2025.08.26
プーチンにコケにされた! トランプの自己愛がウクライナの助け舟になる皮肉 2025.07.26
名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に? アメリカが日本に向ける厳しい目 2025.07.08
戦術で勝って戦略で負ける......イスラエル軍事作戦の勝因と限界 2025.06.28
次期アメリカ大統領選でユダヤ系大統領は誕生するのか? 2025.06.14
トランプがぶち上げた「ガザ100万人強制移住計画」の既視感 2025.05.31