「現実的に期待できる最高の成果」だった、G7広島サミットの首脳宣言
冷戦終結から11年の新戦略兵器削減条約発効まで、2大核保有国のソ連・ロシアとアメリカは世界の核弾頭数を削減し、核拡散のリスクと意図的または突発的な核使用の危険を減らす努力を続けてきた。
20年までに、アメリカは最大3万1255発から5428発、ソ連・ロシアは4万発から5977発と、約80%の核弾頭を廃棄した。それでも23年現在、両国は世界の核兵器の約9割を保有し続けている。
14年にクリミア併合を強行したロシアは、核兵器の「先制不使用」を放棄。自国の安全保障に対するいかなる脅威にも使用する可能性があるとした。
一方、アメリカは核兵器の近代化に着手。中国は核兵器の増強路線に転じ、現在の350発から30年までに1000発に増やすとみられている。
復活をもくろむ大国(ロシア)と台頭する新・超大国(中国)が既存の超大国アメリカに挑戦する構図の下で、国際的な緊張が高まっている。世界は軍縮から冷戦期の「相互確証破壊」に逆戻りした。今は核保有国が増え、より危険性が増している。
この状況では、「恐怖、名誉、利益」を行動原理とする国家が核兵器を放棄することはないだろう。現時点で各国ができる最大限の取り組みは、広島サミットの首脳宣言にある「軍縮・不拡散」に向けた「現実的で、実践的な、責任ある」アプローチだ。
私たちは小さな一歩を踏み出すことしかできない。しかし、その一歩が私たちを「ヒロシマ」から遠ざけてくれる。
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