嘘をばらまき続けたポンペオは、国務長官にふさわしくない
ポンペオは共和党右派の武闘派として民主党にかみつき続けてきた Aaron P. Bernstein-REUTERS
<オバマの国籍問題から駐リビア領事館襲撃事件、ロシア疑惑に至るまで、多くの事実をねじ曲げてきたポンペオ>
この記事が読者に届く頃には、米上院本会議でマイク・ポンペオの国務長官就任を認めるかどうかの採決が終わっているだろう(編注:4月26日に承認)。難航しつつも最終的には承認されるとの見方が現時点では強いようだが、採決はかなりの僅差になる可能性が高い。
明るい性格で、最近は謙虚な姿勢も見せるようになったが、ポンペオは政界で敵の多い男だ。下院議員を6年間務めた後、昨年のトランプ政権発足後はCIA長官を務めている。その間、共和党右派の武闘派として、民主党を攻撃するために陰謀論と真っ赤な嘘をばらまいてきた。
陸軍士官学校を首席で卒業したポンペオは、陸軍士官として5年間勤務。その後、ハーバード大学法科大学院を優等で修了した。下院議員に当選したのは2010年。草の根保守派運動「ティーパーティー」の台頭が追い風になった。
CIA長官への就任後は、プロの情報将校たちの話を「聞く力」を発揮し、手ごわくて巨大な組織をうまく運営してきたようだ。「よそ者」で「政治家」の長官に懐疑的な傾向が強いCIAにあって、これは評価すべき点かもしれない。
しかし、ポンペオがおぞましい嘘を拡散してきたことは紛れもない事実だ。特にひどい嘘が5つある。
■イスラム教徒
反イスラム勢力と結び付きがあるポンペオは、イスラム教指導者が01年の9.11テロを十分に批判していないと主張。3000人余りの罪なきアメリカ国民らの殺害に加担したと言われても仕方がない、とまで非難した。
実際には、アメリカのイスラム教指導者は9.11テロを厳しく批判していたが、ポンペオは発言を撤回していない。
■オバマの出生地
ポンペオは、オバマ前大統領の出生地がアメリカではなく、アメリカ大統領を務める資格がないという荒唐無稽な主張を広め続けた。この主張は露骨な嘘であり、人種差別的な発想も見え隠れする。
■ベンガジ疑惑
12年にリビア東部のベンガジの米領事館がイスラム過激派に襲撃され、大使を含むアメリカ人4人が死亡した。ポンペオなどの共和党政治家は、当時の国務長官だったヒラリー・クリントンの職務怠慢が事件を招いたと主張。16年大統領選では、クリントン批判の材料にも用いた。
しかし、外交や情報活動の専門家の目から見れば、共和党の主張は事実を歪曲している。クリントンは事件と関係がない。ポンペオらは、政敵の足を引っ張るために、外交官の死を利用し、真実をねじ曲げている。
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