コラム

天安門「英雄」の受賞に反体制派が抗議

2010年10月08日(金)16時44分

pa_041010.jpg

有力候補 妻、劉霞が手にした劉暁波の写真(10月3日、北京)
Petar Kujundzic-Reuters

 中国の反体制活動家17人と中国共産党は遂に、意見の一致点を見出した。天安門事件の「黒幕」として投獄された作家、劉暁波(リウ・シアオポー)は、ノーベル平和賞を受賞すべきではない、ということだ。

 国家政権転覆扇動罪で劉に懲役11年の判決を下した中国当局は、ノルウェーのノーベル賞委員会に対し、劉が受賞すれば両国の関係は悪化するとあからさまに圧力をかけている。一方ニューヨーク・タイムズ紙によれば、亡命した中国人反体制派、とりわけ共産党独裁体制の転覆を目指す強硬派は、劉は弱腰過ぎて受賞にふさわしくないと主張している。


 14人の反体制活動家は書簡のなかで、劉は同志の活動家を中傷し、気功集団・法輪功に対する迫害を許し、中国指導者に甘い顔をしたと非難した。

「人権侵害を続けてきた過去20年間の中国共産党の活動を公に賞賛した劉の行為は、事実を歪曲し甚大な悪影響を及ぼした」と、彼らは書いている。


 中国の反体制派同士が対立するなんて。ニューヨーク・タイムズは、それはむしろ世界の中国人反体制派コミュニティに共通する症状だと指摘している。「彼らは、反権力を名乗るのに本当にふさわしいのは誰かをめぐる小競り合いで分断されている」

──ジャレド・モンドシャイン
[米国東部時間2010年10月07日(木)16時23分更新]

Reprinted with permission from "FP Passport", 8/10/2010. ©2010 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、「非常に厳しい」対ロシア経済制裁を検討

ビジネス

米エコスター、AT&Tに周波数売却 230億ドル

ワールド

米関税収入、年5000億ドルはるかに超える可能性=

ワールド

クックFRB理事、解任巡り提訴へ トランプ氏は後任
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story