最新記事

人権問題

米英独、国連のイベントで中国のウイグル問題を批判「ジェノサイドやめよ」

2021年5月13日(木)09時58分
中国のウイグル問題への抗議デモ

米英独の3カ国は12日、国連のオンラインイベントで、中国による新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への対応を改めて批判した。ウイグル問題を巡る抗議活動のようす。首都ワシントンで5日撮影(2021年 ロイター/Leah Millis )

米英独の3カ国は12日、国連のオンラインイベントで、中国による新疆ウイグル自治区のイスラム教徒への対応を改めて批判した。

米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、「中国政府が新疆でウイグル人などに対するジェノサイド(民族大量虐殺)と人道に対する犯罪をやめるまで、われわれは立ち上がって声を上げ続ける」と表明。「同地区では人々が拷問を受け、女性は不妊手術を強要されている」と訴えた。

英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、新疆ウイグル自治区の状況を「現代における最悪の人権危機の一つ」と表現し、「特定の民族に抑圧プログラムを行っている証拠がある」と語った。

イベントには約50カ国が参加。イベントに先立ち、中国は各国に参加しないよう要請していた。

中国側の代表はイベントの中で「新疆については何も隠すことはないし、新疆は常に開かれている。われわれは誰もが新疆を訪れることを歓迎するが、嘘と推定に基づくあらゆる調査には反対する」と述べた。

こうした中、米国務省は世界の信教の自由に関する報告書を発表し、新疆ウイグル自治区が事実上の「野外刑務所」と化しているとして、中国の宗教弾圧を非難した。

国際自由局の高官を務めるダニエル・ナデル氏は「ウイグル人と生活をともにするよう指示を受けた人物らが監視しており、人々の動きが綿密に追跡されている」と指摘。イスラム教徒への弾圧は、中国における数十年にわたる宗教弾圧の集大成であるとも付け加えた。

報告書では、中国国内で非合法となっている気功集団「法輪功」に対する弾圧にも言及。ブリンケン国務長官は、法輪功メンバーの拘束に関与したとして、中国政府の幹部や家族に対するビザ発給を制限すると表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・オーストラリアの島を買って住民の立ち入りを禁じた中国企業に怨嗟の声
・反日デモへつながった尖閣沖事件から10年 「特攻漁船」船長の意外すぎる末路



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中