コラム

フェースブックは活動家がお嫌い?

2011年04月21日(木)15時27分

 バラク・オバマ大統領が水曜にシリコンバレーのフェースブック本社を訪問するのに合わせ、ウォールストリート・ジャーナル紙はフェースブックが最近力を入れ始めたワシントンでのロビー活動についての記事を掲載した。フェースブックが雇ったロビイストにも取材しているが、その一人の言葉はどう見てもフェースブックのイメージアップにつながるとは思えない。


「コンテンツの検閲は、国によってしたりしなかったりという方法をとるかもしれない」と、フェースブックのロビイスト、アダム・コナーは言った。「今我々はもしかすると、言論の自由の経験がない国であまりに多くの自由を認め過ぎてしまっているのかもしれない。おかげで居心地の悪い立場に追い込まれることも少なくない」


 フェースブックと活動家たちの間でなぜ緊張が強まりつつあるのか、その理由がよくわかる言葉だ。活動家たちは民主化運動を組織するのにフェースブックを最大限に活用したが、フェースブックのほうはそうした使われ方を必ずしも歓迎してこなかった。例えば、マイクロソフトやグーグル、ヤフーが参加するグローバル・ネットワーク・イニシアチブ(GNI)にも参加していない。独裁国家でサイトを運営する際の行動規範を定めたもので、ユーザーの表現の自由を尊重するという宣言だ。

■言論の自由は本業と無関係?

 言論の自由を広げることは、フェースブックの目的ではない。映画『ソーシャル・ネットワーク』で描かれたように大学のキャンパスライフをそのままオンラインに移植すること、でさえない。フェースブックの目的は、ユーザーが提供してくれた個人情報を広告主に売って儲けること。フェースブックが崇高な何かを目指しているという考えが誤りだったことは今やはっきりしている。

 この文脈で考えれば、いま噂されているように、中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」と提携して中国語版フェースブックを立ち上げるのは当然過ぎる選択だ。もっとも、フェースブック訪問中のオバマがそんな外聞の悪いことにわざわざ言及するとは思えないが。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月20日(水)11時29分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 21/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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