コラム

長老支配嘆くラウルの右腕は80歳

2011年04月20日(水)18時10分

 キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(79)は、16日から開かれていた共産党大会で政府と党幹部の任期を2期10年に制限することを提案し、キューバの長老支配を嘆いてみせた。だが彼の本音は、自分の世代までは今のままの支配を続けることらしい。英ガーディアン紙は以下のように伝える。


 14年ぶりに開催されたこの党大会は、革命の英雄フィデルと実弟ラウルのカストロ兄弟やその世代が出席する最後の大会になるはずだった、とラウルは言い、若手を幹部に登用する試みは失敗したと付け加えた。「人生においては常にベストの選択ができるわけではない。キューバ革命から半世紀以上を経ても尚、問題を解決できずにいるのは恥ずべきことだ」

 制度的に若返りを促そうとするラウルの提案は、来年1月の党中央委員会で議論される。ラウルは08年にフィデルの後を継いで国家評議会議長の地位に就いたばかり。提案が通ればラウルは86歳まで現在の地位に留まることになる。党大会ではまた、フィデルが党第1書記を退いたのに伴い、ラウルが昇格する予定。せめて党のナンバー2ぐらいは若返るのかどうか、それも定かではない。


 そして今日、ラウルは筋書き通り第1書記に昇格した。そしてラウルの後任となる第2書記に就任したのは、ホセ・ラモン・マチャド・ベントゥラ国家評議会副議長。血気盛んな80歳だ。

 今党大会では、計画経済の崩壊を回避するため部分的に市場原理を導入する経済改革が承認され、中古車を新車に買い換えることも可能になるかもしれない。だが、ポンコツ指導者が引退して元気な若者に道を譲ってくれるのはまだ先のことになりそうだ。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2011年04月19日(火)12時09分更新]

Reprinted with permission from FP Passport, 20/4/2011. © 2011 by The Washington Post Company.

プロフィール

ForeignPolicy.com

国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

今、あなたにオススメ

ニュース速報

ビジネス

出口局面で財務悪化しても政策運営損なわれず、正常化

ワールド

焦点:汚染咳止めシロップでインドなど死亡数百件、米

ワールド

アングル:COP28、見えない化石燃料廃止への道筋

ワールド

OPECプラス閣僚会合、現行政策調整の可能性低い=

MAGAZINE

特集:日本化する中国経済

特集:日本化する中国経済

2023年10月 3日号(9/26発売)

バブル崩壊危機/デフレ/通貨安/若者の超氷河期......。失速する中国経済が世界に不況の火種をまき散らす

メールマガジンのご登録はこちらから。

人気ランキング

  • 1

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    ワグネル傭兵が搭乗か? マリの空港で大型輸送機が爆発、巨大な黒煙が立ち上る衝撃映像

  • 4

    広範囲の敵を一瞬で...映像が捉えたウクライナ軍「ク…

  • 5

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 6

    ウクライナ「戦況」が変わる? ゼレンスキーが欲しが…

  • 7

    エリザベス女王も大絶賛した、キャサリン妃の「美髪…

  • 8

    日本の他殺被害者のうち0歳児が断トツで多い理由

  • 9

    イラン製「カミカゼドローン」に日米欧の電子部品が.…

  • 10

    ロシア軍スホーイ戦闘機など4機ほぼ同時に「撃墜」され…

  • 1

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 2

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 3

    最新兵器が飛び交う現代の戦場でも「恐怖」は健在...「スナイパー」がロシア兵を撃ち倒す瞬間とされる動画

  • 4

    本物のプーチンなら「あり得ない」仕草......ビデオ…

  • 5

    マイクロプラスチック摂取の悪影響、マウス実験で脳…

  • 6

    ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べ…

  • 7

    広範囲の敵を一瞬で...映像が捉えたウクライナ軍「ク…

  • 8

    これぞ「王室離脱」の結果...米NYで大歓迎された英ウ…

  • 9

    「ケイト効果」は年間1480億円以上...キャサリン妃の…

  • 10

    ロシア黒海艦隊、ウクライナ無人艇の攻撃で相次ぐ被…

  • 1

    イーロン・マスクからスターリンクを買収することに決めました(パックン)

  • 2

    黒海艦隊「提督」の軽過ぎた「戦死」の裏に何があったのか

  • 3

    中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

  • 4

    <動画>ウクライナのために戦うアメリカ人志願兵部…

  • 5

    コンプライアンス専門家が読み解く、ジャニーズ事務…

  • 6

    「児童ポルノだ」「未成年なのに」 韓国の大人気女性…

  • 7

    「これが現代の戦争だ」 数千ドルのドローンが、ロシ…

  • 8

    サッカー女子W杯で大健闘のイングランドと、目に余る…

  • 9

    「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街…

  • 10

    ロシア戦闘機との銃撃戦の末、黒海の戦略的な一部を…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story