- HOME
- コラム
- サイエンス・ナビゲーター
- 7つのキーワードで知る「土用の丑」とウナギの今──…
7つのキーワードで知る「土用の丑」とウナギの今──完全養殖に高まる期待と「シャインマスカットの反省」
3.ウナギの品種による違い、天然と養殖について整理する
ウナギ属は16種6亜種が知られているが、主に食用となるのは「ニホンウナギ(ジャポニカ種)」「ヨーロッパウナギ(アンギラ種)」「アメリカウナギ(ロストラータ種)」「ビカーラ種」の4種だ。
ニホンウナギは日本各地や東アジアに生息し、食味に優れている。国産の天然ウナギはすべてニホンウナギで、小川原湖(青森県)、利根川(千葉県・茨城県)、狩野川(静岡県)、木曽川(愛知県・岐阜県など)、四万十川(高知県)、一ツ瀬川(宮崎県)などが名産地として知られている。ただし「国産ウナギ」の99%以上が養殖であるため、天然のニホンウナギは高級料亭や専門店以外ではなかなか目にすることはできない。
国産の養殖ウナギは鹿児島県、愛知県、宮崎県、静岡県などで生産されている。黒潮に乗って日本沿岸にたどり着いたり、海外から購入したりしたシラスウナギ(ウナギの子供)を育てるのが従来の養殖方法で、通年で一定の品質のものを出荷できることが特徴だ。
ヨーロッパウナギは北大西洋やヨーロッパ各地の河川に生息し、かつて中国産養殖ウナギの主流だった。しかし乱獲によって09年からワシントン条約の対象になり、稚魚の貿易が制限されるようになった。ニホンウナギよりもやや小ぶりだが、太さがあり脂がのっている。
アメリカウナギは北米の東海岸が主な生息地で、大型で身に厚みがあることが特徴だ。かつては東南アジアではよく食べられている一方、日本ではあまり流通していないと考えられていた。
ところが25年6月、世界自然保護基金(WWF)ジャパンと中央大学は、日本国内で販売されたウナギの蒲焼133サンプルのDNA分析結果をしたところ、約4割がアメリカウナギであったと発表した。特に、中国産と表示されていた蒲焼サンプル82点の半数以上がアメリカウナギと分かり、アメリカウナギの養殖用稚魚の違法取引問題に日本市場が影響している可能性が指摘された。
「この名前を与えてもらって感謝」油井亀美也宇宙飛行士に聞いた、「亀」の支えと利他の原点 2025.06.10
昆虫界でも「イクメン」はモテる! アピールのために「赤の他人の卵」の世話すらいとわず 2025.05.17