ニュース速報
ワールド

焦点:高まる米金融政策の不透明感、インフレ・FRB議長人事が鍵

2025年12月11日(木)17時35分

写真は米連邦準備理事会(FRB)。2022年6月、ワシントンで撮影。REUTERS/Sarah Silbiger

Saqib Iqbal Ahmed Lewis Krauskopf

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は10日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続の利下げを決定した。だが、根強いインフレ、データの遅延、次期FRB議長人事を巡る不透明感から、投資家は今後1年間の金融政策の行方を見通しにくくなっている。

今回の政策決定ではFRB内で前例のないほど見解が分かれた。2026年の見通しについて、市場は0.25%の利下げが2回行われると予想するが、FOMCで公表された金利・経済見通しでは政策担当者の予想は1回にとどまる。

今後の金融政策の方向は、10月から11月にかけて43日間に及んだ連邦政府の一部閉鎖の影響で公表が遅れている経済指標に左右される。こうした中、来年の中間選挙に向けてトランプ大統領はより積極的な利下げを求めている。

Bライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「FRBが次に何をするかを推測するゲームは、来年もっと難しくなるだろう」と語った。

<FRBは微妙なバランスに直面>

インフレの動向と労働市場の強さが依然不透明なため、投資家は来年の金融政策を巡って不確実性に直面している。

最大雇用と物価の安定というFRBの二つの責務はFRB内部でも議論を呼んでいる。

ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントのブレント・シュッテ最高投資責任者(CIO)は、「これはFRBが直面する綱渡りのような状況と、米経済が置かれた微妙なバランスを示している」と言及。現在はFRBの2つの責務に同時に圧力がかかるという歴史的にも異例な状況にあるとし、「今後6─9カ月の行方は本当に読みにくい」と語った。

コメリカ銀行のチーフエコノミスト、ビル・アダムス氏は「今回のガイダンスは、通常ほど政策金利の方向性を示していないようだ。理由は二つある」と指摘。「第一に政府機関閉鎖の影響で経済統計の公表が遅れたため、FRBは通常と比べて足元の経済の状況を正確に把握できていない。第二に来年5月のパウエル議長の任期終了後、FRBのアプローチがどう変わるかがガイダンスに織り込まれていない」と説明した。

<ノイズは無視>

経済指標やFRBの発表などへの反射的な対応を避け、戦略を維持するのが賢明との見方もある。

F/mインベストメンツのアレックス・モリスCIOは「これから来年末まで、金融に関する大量のノイズがあふれるだろう」と予想。来年は予想以上の成長やインフレ再上昇の可能性はあるものの、それが即座に金融引き締めにつながる可能性は低いとの見方を示した。同氏は債券投資家にはデュレーションを長めに取る戦略を推奨している。

株式市場では利下げ停止の可能性に対して過度な懸念は広がっていないようだ。低金利は株価を押し上げてきたが、景気悪化を理由とする利下げは好感されないだろう。

MAIキャピタル・マネジメントのチーフ市場ストラテジスト、クリス・グリサンティ氏は「利下げが必要ということは景気が低迷していることを示すため、26年に利下げがないことを望む。景気が堅調で利下げが不要な状況のほうが望ましい」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国務長官「意図的に標的にせず」、イラン学校攻撃巡

ワールド

景気が弱い時でも利上げ必要な場合ある=カナダ中銀副

ワールド

クリントン氏、富豪巡るトランプ氏発言明かす 議会証

ワールド

グリーンランド鉱業部門に関心高まる、トランプ氏の領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医師が語る心優先の健康法
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 7
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 8
    【台湾侵攻は実質不可能に】中国軍粛清で習近平体制…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    【トランプ関税はまだ序章】新関税で得する国・損す…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 7
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中