最新記事

インタビュー

出口治明「日本は異常な肩書社会。個人的な人脈・信用はなくても実は困らない」

2020年3月30日(月)16時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

――さきほど、信用を高めるには、ゆるく考えて、プラスマイナスでトータルでプラスならば、信用が積めるという話がありました。敵は少なければいいわけですが、意図せずしてつくりがちです。

できる、できないは別として、敵をつくらない方法はあります。僕は昔は、よく笑っているか、怒っているかの極端な人だったんですよ。それで友人が僕のことを「お前は本当にアホや」というわけです。なんでそんなに怒るんだといわれました。

彼が教えてくれたのは極めてロジカルな考え方でした。つまり、世の中の人は、賢い人か、そうでない人に分けられる。賢い人は怒らなくても一言いえば問題点を理解する。だから、賢い人に対しては、怒る必要がない。

賢くない人は、怒ったところで賢くないから、何で怒られているかがわからない。そのうえ、怒られたことだけはよく覚えているから一生恨まれる。だから、賢くない人に怒っても全く無益ではないか。そんな人には、にっこり笑って、相手にしなければいい。

怒ることには何一つ、メリットはないと説教された記憶があります。

――なるほど。それならば、無駄な敵はつくりませんね。

でも、僕にはなかなかできないんですよ(笑)。筋の通らないことには、黙っていられないタイプなので、今でも怒ったり、まともに議論したりしてしまいます。そういう意味では人間ができていないのかもしれませんね。敵を意外にたくさんつくっているかもしれません。

※インタビュー第2回:出口治明「人間は皆そこそこに正直でかつずる賢いしお金に汚い。基本的には信頼するしかない」に続く。

※インタビュー第3回:出口治明「社会的責任を叫びながら、いざ不祥事になると平気で居座る経営者はおかしくありませんか」


得する、徳。
 栗下直也 著
 CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年1月以来の低水準

ワールド

ウクライナ平和サミット開幕、共同宣言草案でロシアの

ワールド

アングル:メダリストも導入、広がる糖尿病用血糖モニ

ビジネス

アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:姿なき侵略者 中国
特集:姿なき侵略者 中国
2024年6月18日号(6/11発売)

アメリカの「裏庭」カリブ海のリゾート地やニューヨークで影響力工作を拡大する中国の深謀遠慮

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

  • 2

    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆発...死者60人以上の攻撃「映像」ウクライナ公開

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    メーガン妃「ご愛用ブランド」がイギリス王室で愛さ…

  • 5

    米モデル、娘との水着ツーショット写真が「性的すぎ…

  • 6

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    「ノーベル文学賞らしい要素」ゼロ...「短編小説の女…

  • 10

    FRBの利下げ開始は後ずれしない~円安局面は終焉へ~

  • 1

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 2

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車の猛攻で、ロシア兵が装甲車から「転げ落ちる」瞬間

  • 3

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

  • 4

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 5

    米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名…

  • 6

    毎日1分間「体幹をしぼるだけ」で、脂肪を燃やして「…

  • 7

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 8

    カカオに新たな可能性、血糖値の上昇を抑える「チョ…

  • 9

    「クマvsワニ」を川で激撮...衝撃の対決シーンも一瞬…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される インドネシア

  • 4

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    接近戦で「蜂の巣状態」に...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 9

    早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思ってい…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中