最新記事
セカンドキャリア

早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円に激減の現実

2024年6月10日(月)17時53分
松田 小牧(ライター)*PRESIDENT Onlineからの転載
早期定年を迎える自衛官「まだまだやれると思っていた...」55歳退官で年収750万円が200万円となる現実

※写真はイメージです Haru photography - shutterstock -

<日本の安全保障環境が厳しさを増すなか、国土の防衛や海外派遣、災害緊急時にも活躍する自衛官だが、多くは55歳~57歳で定年を迎える。給与は激減、年金支給はずっと先>

自衛官の多くは55歳~57歳で定年を迎える。その後の生活はどうなるのか。ライターの松田小牧さんは「多くが民間企業に再就職する。だが、満足のいく給与をもらえないことから、職を転々とする人が増えている」という――。

※本稿は、松田小牧『定年自衛官再就職物語』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。

【退官した自衛官が定職につけない現実】

せっかく決まった再就職先を、早期に後にする人は少なくない。退職自衛官の再就職をサポートする自衛隊援護協会関係者によると、自衛隊がデータを取っている再就職後半年以内の離職率は約10%。つまり、10人に1人は再就職から半年も経たないうちに、再就職先を離れるという。

その後については自衛隊として調査を行っているわけではないものの、「退職自衛官の再就職を応援する会」によると「3~4年のうちに4分の1程度は離職してしまう」と話す。

取材した中には、「自分の知っている限りで言うと、半年のうちに3分の1ほど退職し、2年以内に70%ぐらいは退職している」と話す人もいた。大卒新入社員の、入社3年以内の離職率は3割程度だと言われているが、自衛隊を定年退官した自衛官もそれと似たような数字となっている。

また、一般的な民間の転職では、自分自身のスキルや経験を棚卸ししたうえで転職を行うわけであり、それでも離職者は決して少なくないのだから、「これまで命令にはすべて『はい』と答えてきた。

援護担当者に紹介された仕事についても『はい』と言う」といった姿勢のままだと、民間企業ではしんどいかもしれないとも思う。

それでも、筆者個人としては、30数年も一つの職場で切磋琢磨し、ときに理不尽に思える命令にも耐えてきた自衛官の少なくない割合が、あっさりと再就職先を離れてしまうことには驚きを禁じ得なかった。

【給与が少なく離職するケース】

2018年に陸上自衛隊を54歳・3佐(定年時特別昇任)で退官した遠山道弘氏(仮名)も給与の少なさが原因で職を辞した一人だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中