最新記事
ウクライナ戦争

この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「珍しい」とされる理由

Rare Ukraine Footage May Show Moment US Switchblade Strikes Russian Buk

2024年6月14日(金)22時15分
エリー・クック
ウクライナの自爆ドローン攻撃

@RALee85/X

<戦場に投入されながらも、その能力は未知数だった「スイッチブレード」。小型ドローンがロシア軍の地対空ミサイルを撃破する映像が公開された>

アメリカがウクライナに供与した自爆ドローン「スイッチブレード」がロシア軍の移動式中距離防空システムを撃破する瞬間を捉えたとされる映像が公開された。スイッチブレードの「徘徊型攻撃」映像は非常に珍しい。

■【動画】自爆ドローン「スイッチブレード600」がロシア軍の地対空ミサイルBUK-M2を撃破したとされる映像

この映像は、ウクライナ軍を支援する「カムバックアライブ(生きて帰れ)財団」が6月12日にメッセージアプリ「テレグラム」に投稿したもの。

まず1機の偵察ドローンが、ウクライナ東部ドネツク州の都市ドクチャイエフスク近郊を移動中のロシア軍の地対空ミサイルシステム「BUK(ブーク)-M2」を探知する。

この辺りはロシア軍の支配地域だが、西方にはウクライナ軍の要衝である炭鉱町のブフレダルがあり、ロシア軍がウクライナに本格的な侵攻を開始して以来、この一帯では激しい戦闘が繰り返されてきた。

偵察ドローンはBUK-M2を追跡。財団によれば、その後にスイッチブレードがBUK-M2に接近する。アメリカ製のこの軍用ドローンは、空中を数時間飛び回って標的に自爆攻撃を行う、いわゆる「徘徊型兵器」だ。映像では、BUK-M2に体当たりして爆発したように見え、炎が上がり、辺りはもうもうたる煙に包まれる。

スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずか

ウクライナ軍がスイッチブレードでロシア軍を攻撃する映像がネット上に初めて現れたのは2022年半ばだ。しかし、ほかの兵器の威力を示す映像は盛んに投稿されるのに、スイッチブレードの実戦での使用映像はごくわずかで、その能力は未知数だった。

本誌はロシア国防省とカムバックアライブ財団にメールでコメントを求めている。本誌の独自調査ではこの映像の信憑性を確認できていない。

アメリカはスイッチブレードのほかにも、「フェニックス・ゴースト」「サイバーラックスK8」など数種の軍用ドローンをウクライナに供与している。スイッチブレードは小型の300と、比較的大きい600の両方を提供しているが、数については、米国防総省は公表を控えている。

「安全保障上の理由から、スイッチブレード600の攻撃映像を見る機会はないとされている」と、ジャーナリストで軍事専門家のデービッド・ハンブリングは今回の映像を見て、本誌に話した。

「既に10年以上使われているが、スイッチブレード 300の映像も極めて少ない......だからスイッチブレードと称する映像は、特に目を凝らして精査する必要がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸、AI関連株が押し上げ 全般は手掛か

ワールド

韓国GDP、第3四半期は前期比+1.3% 速報値か

ビジネス

円安、家計の購買力低下させる可能性 産業空洞化解消

ビジネス

午後3時のドルは155円半ばでもみ合い、日米金融政
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 2
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 7
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 8
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中