最新記事
兵器

堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっかり」でウクライナのドローン突撃を許し大爆発する映像

Video Shows Ukraine Drone Find Fatal Gap in Russian 'Turtle Tank's' Armor

2024年6月7日(金)17時30分
エリー・クック
ウクライナのドローン攻撃を受けるロシア亀戦車

Melnikov Dmitriy/Shutterstock

<ウクライナ各地の戦場に、防護用の装甲を取り付けたロシア軍「亀戦車」が登場しているが、ドローン攻撃を防ぎきることはできていないようだ>

ドローン攻撃を回避するため、車体に防護用の装甲を取り付けたロシア軍の戦車が、ウクライナ各地の戦場で目撃されている。こうした戦車はその異様な外観から「亀戦車」と揶揄されているが、ウクライナ軍のドローンが「甲羅」をくぐり抜けて戦車内部に突入し、自爆攻撃を成功させた瞬間だという映像が、ウクライナ政府によって公開された。

■【動画】装備は完璧も、運用が「お粗末」すぎたロシア軍...ウクライナに隙をつかれ、戦車が「内側から」大爆発の瞬間

動画は、ウクライナ軍の第93機械化旅団が撮影したもの。FPV(一人称視点)自爆型ドローンが、前線沿いの地点(詳細は不明)でロシアの戦車に向かって飛行する様子とみられる。別の空撮映像は、ドローンが戦車に突入し、戦車が爆発する様子を捉えている。

ウクライナ国防省は6月5日、「占領軍は『カメ』戦車を作ったが、ハッチを閉め忘れてしまった」と投稿し、ウクライナのドローン操縦士は「このようなミスは見逃さない」と述べた。

本誌は、この映像が撮影された時期や場所を独自に確認できておらず、ロシア国防省にメールでコメントを求めている。

ここ数週間ほどインターネット上に出回っている複数の動画からは、ロシアがウクライナ軍のFPV自爆型ドローンから戦車を守るために、自軍の戦車を金属製の甲羅のような構造物で覆っている様子が見て取れる。この防御用のケージ(かご)を取りつけた車両は「亀戦車」と呼ばれ、オープンソース・アカウントで物笑いの種になっている。

小型武器の専門家マシュー・モスが本誌に語ったところによると、亀戦車はロシア軍が5月に入って新たに攻勢をかけているハルキウ州北東部など、ウクライナの複数の前線に出現している。

ロシア「亀戦車」が地雷で吹き飛ばされる映像も

戦闘を観察しているアカウントやウクライナ軍は、これまでにも亀戦車が破壊される様子だとする動画を複数公開してきた。

5月にはウクライナ政府が、ロシアの「亀戦車」が複数の地雷を踏んで吹き飛ばされたと発表した。ウクライナ東部で活動する第79独立空中襲撃旅団も同月前半、ロシアの装甲車列がドネツク州ノボミハイロフカ近くのウクライナ陣地に攻撃を開始したという短い動画を公開した。動画には、金属製のケージに覆われたロシア軍の戦車が少なくとも1両映っている。

ソーシャルメディアに投稿された別の映像では、ドネツク州クラスノホリフカ周辺を移動する、保護カバーに覆われたカメのようなロシアの戦車が捉えられている。

ウクライナとロシアは「ドローン戦」を繰り広げており、ウクライナ上空にはFPVドローンが飛び交っている。ウクライナのドローンは偵察、標的設定、軍用車両の排除のために前線全域で使用され、ロシアの戦車に脅威を与えている。ウクライナは戦場でドローンが記録した映像を頻繁に公開している。

ウクライナ国防省は、「ロシア軍の戦車は、ウクライナ軍のFPVドローンにとって『お気に入りの標的』だ」と述べている。

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、日本の核兵器への野心「徹底抑止」すべき=K

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ

ワールド

アングル:トランプ政権で職を去った元米政府職員、「

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 6
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 7
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、クリミアのロシア空軍基地に…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中