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栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう

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2025年3月29日(土)12時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
どじょう養殖ビジネスを展開する嶋崎成氏

休耕田を活用したどじょう養殖というビジネスモデルでINACOMEビジネスコンテスト2024の最優秀賞に選ばれたDJプロジェクト株式会社の嶋崎成代表(撮影:内藤貞保)


<地域資源を活用した多様なビジネスの創出を支援するための起業促進プラットフォーム「 INACOME(イナカム)」。この度、全国の起業家たちがビジネスアイデアを競う「INACOMEビジネスコンテスト2024」が開催され、スタートアップ部門の最優秀賞に「どじょうが日本の原風景と食糧危機を救う!!」が選ばれた。地方経済の活性化を促す新たなビジネスモデルとして期待が寄せられている>

初心者でも参入しやすいビジネスで地方の過疎化を防ぐ

かつては水田に多く生息し、日本人になじみが深かったどじょう。古くから全国で食されていたものの、現在はどじょう鍋などの郷土料理として一部地域で親しまれているものという印象が強い。食用としては珍しくなったどじょうを、休耕田を活用した養殖によって食料として全国に普及させる。それがDJプロジェクト株式会社(大阪府東大阪市)の代表を務める嶋崎成(しまざき あきら)氏の目標である。

どじょうの食文化が失われていった理由は諸説あり、ひとつはどじょうの生息数が減少したことだといわれている。嶋崎氏は、「昭和の高度成長期に稲作が重要産業と位置付けられ、米の生産性を高めるために農薬や化学肥料が使われたことで水生生物が激減。その結果、どじょうを食べる機会も奪われていったのではないか」と推測する。

DJプロジェクトは現在、奈良県宇陀市・山辺郡・大和郡山市、京都府京田辺市の4ヵ所に、1反(300坪)程度の大きさの池を整備し、どじょうを養殖しながらテスト販売を行っている。自社で養殖・販売するだけでなく、休耕田を所有する農家や事業者に養殖のノウハウを提供することでビジネスに参入してもらい、最終的には全国展開することを目指している。

日本の地域経済と食糧を守るどじょう養殖

奈良県山辺郡にあるどじょうの養殖池(嶋崎氏提供)

「どうじょうは力強く生きるため病気になることはほとんどなく、3~4カ月で出荷サイズになるほど成長も早い。水源を確保でき、水が抜けない休耕田があれば、1反なら初期費用30~60万円、ランニングコスト年間20万円程度で参入可能。日々の作業は餌やりや、水管理程度なので、農業を卒業された高齢者でも始められる。稚魚は当社が提供し、育ったどうじょうは当社が3000円/kg前後で全量を買い取るため、初心者でも始めやすい」と、嶋崎氏はビジネスへの参入のしやすさを語る。

例えば1反の池の場合、2万5000~3万匹の稚魚を投入。最低でも200kgのドジョウを出荷できるそうで、年2回出荷すると単純計算で120万円の売上になる。そこから経費を差し引いた分が生産者の利益となる。買い取ったどじょうは、嶋崎氏が開拓した販路を通じてどじょう汁を提供する飲食店や魚の卸会社などに販売される。

日本の地域経済と食糧を守るどじょう養殖

どじょうの食文化は柳川鍋など郷土料理として残る(嶋崎氏提供)

独学と研修で、養殖技術を習得

このビジネスは2024年にスタートしたばかりだが、嶋崎氏は25年以上にわたって食と農業に携わってきた経歴を持つ。35歳のときに東京の出版社を退職すると、大阪にある妻の実家が営む食品の製造販売や輸入などを行う会社に入った。食に関わるうちに根本的なことを学びたいと思うようになり、会社を離れて農業研修を受けた後、不耕起栽培による農業にのめり込んだという。

「琵琶湖のほとりで仲間と一緒に農業塾を開き、その一方でどじょうの養殖と野菜の水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスにも取り組んだ」

その後、食品と貿易の仕事に従事していたときにコロナ禍に見舞われる。そのときに全国で休耕田や耕作放棄地が社会問題になっていることを見つめ直す。知人らの助言もあり、かつてアクアポニックスで取り組もうとしていたどじょうの養殖のことをシンプルに考え、休耕田で養殖するアイデアが思い浮かんだ。コロナ禍の期間に独学と、人工孵化をはじめとした養殖技術の研修を経て、2024年9月に会社を設立した。

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