最新記事
日本社会

日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い

2025年4月30日(水)10時00分
舞田敏彦(教育社会学者)
スーパーで買い物する男性

ジェンダー意識が変わらなければ未婚化・少子化に歯止めはかからない(画像はイメージ写真) photoAC

<いまだに残る「家事は女性がするもの」という日本のジェンダー意識が未婚化・少子化にも繋がっている>

日本の未婚化の進行が止まらない。子どもの数が減る一方で、家族を持たない人が増えてくる。情緒を安定させる拠り所がないとも言える人たちだ。フランスの社会学者デュルケムは名著『自殺論』において、「人は社会的な生き物で、何らかの集団に属さずして、自分自身を目的にしては生きられない」と述べている。

血縁に由来する基礎集団としての家族は、成員の情緒を安定させる機能を果たす。これがある人とない人では、幸福度も違ってくると予想される。2017~2022年に各国の研究者が共同で実施した『世界価値観調査』では、「総合的に言って、今のあなたはどれほど幸福か」と尋ねている。日本の25~54歳を未婚者と既婚者に分け、「あまり幸福でない」ないしは「全く幸福でない」の回答割合を計算すると、前者では19.2%、後者では6.6%。配偶者や子がない未婚者のほうが、意識の上での不幸感が高い。


これはどの国でも同じだが、男性と女性で分けてみると日本の特徴が出てくる。<図1>は、日本を含む主要5カ国の結果をグラフにしたものだ。

newsweekjp20250430003449-e13ad5e1e29faf8d758baca6999573a9a4ef2780.png

未婚者と既婚者の違いに注目してほしい。男性の傾向(青色)を見ると、どの国も左上がりで未婚者の方が既婚者より不幸感が高い。線分の長さから、日本はそれが特に顕著なのが分かる(未婚者は37.8%、既婚者は9.2%)。

赤色の女性をみると、日本だけが線の向きが違っている。日本の女性は、未婚者より既婚者の不幸感が高い。微差ではあるものの、他国では見られない日本の特徴だ。

そもそも未婚者には、低学歴・低所得といった不利な属性の人が多いので、自分の状況を不幸と考える人が多いのは当然だ。情緒を安定させる縁(よすが)がない、というのも大きいだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 9
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 10
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中