だが日本では男女で傾向が逆で、家庭内における旧態依然の性役割分業の影もちらつく。未婚男性の不幸感の(異常な)高さは、妻の献身(犠牲)の欠如ゆえかもしれない。女性の不幸感が「未婚者<既婚者」であるのは、その裏返しと解釈できる。

家庭を持つこと(結婚)のインパクトが男女で異なるのは、マクロな統計からも推測できる。離婚率と自殺率の長期推移だ。この2つのカーブを描くと、男性では明瞭な共変関係が見られるが女性はそうでない。横軸に離婚率、縦軸に自殺率をとった座標上に、各年のドットを配置すると<図2>のようになる。

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過去70年余りのデータだが、離婚と自殺の相関関係が男女で異なることが分かる。男性ではプラスなのに対し、女性ではマイナスだ。

これが因果かどうかはさておき、離婚(婚姻解消)の増加は男性の自殺増に寄与する一方で、女性ではその抑止因となることはデュルケムも指摘していて、「離婚の存在が女性を保護する」と言っている(『自殺論』)。今の日本において、結婚生活が女性にとって重荷になっているであろうことは、夫婦の家事分担の統計からも分かる。

この構造を是正しない限り、未婚化・少子化に歯止めはかかりそうにない。若者への経済支援(手取り増)の効果も、限定的なものとなるだろう。それができないなら、結婚を経ずとも子を産み育てられるような環境を整備するしかない。

<資料>
『第7回・世界価値観調査』(2017~2022年)
厚労省『人口動態統計』

【グラフ】各国別、25~54歳男女の不幸感