最新記事

日本企業

テレワーク定着でオフィス使われず 3社に1社が稼働率3割超低下

2020年8月19日(水)11時42分

8月ロイター企業調査によると、テレワークの定着に伴いオフィス稼働率が低下した企業は9割超を占め、3社に1社は3割以上の低下と回答した。都内で17日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

8月ロイター企業調査によると、テレワークの定着に伴いオフィス稼働率が低下した企業は9割超を占め、3社に1社は3割以上の低下と回答した。こうした現状からオフィスのあり方を見直している企業は3割を超えている。政府が要請しているテレワーク率7割に対し、すでに大半の企業が実施しているか、あるいは取り組みを検討している。サテライトオフィスなど在宅勤務を基本とした所在地分散の動きが強まりそうだ。

この調査は8月3日から13日に実施、495社に送付し、回答社数はおよそ225社程度。

テレワークは、すでにほとんどの企業が何らかの形で取り入れている。政府は産業界に7割程度のテレワーク比率と、休暇の分散や観光地やリゾート地などの休暇先で働く「ワーケーション」の推進を求めているが、テレワーク比率7割の実施については、38%がすでに実施中と回答。加えて今後実施する予定、あるいは検討中、今後検討する予定の40%を合わせると、8割近くの企業で実施される可能性がある。

ただ、業種により導入状況には大きな差異がある。非製造業では現場中心の業種も多く、小売や運輸、サービスなどでは実施中の企業は1-2割にとどまる。

一方ワーケーションについてはまだ広がりに欠け、検討していない企業が全体で6割超となった。

オフィスに出社する社員が減少したことで、オフィスの稼働率はほとんどの企業で低下している。1-2割の稼働率低下と回答したのは62%。3割以上低下した企業は34%、5割以上の低下との回答も9%と1割近くにのぼった。

在宅勤務の広がりは、これまで広いオフィスを求めてきた企業に見直しを迫ることになりそうだ。すでに見直しを実施した企業と、検討中の企業を合わせると3割となった。

「手狭で困っていたが、当面拡張する必要がなくなった」(サービス)として、面積拡張のためのオフィス移動の動きが止まるケースや、「面積縮小とフリースペース化」(小売)、あるいは「オンラン会議に適したレイアウトへの変更」(機械)など、在宅勤務を前提としたあり方にシフトするケースが少なくない。

また、「コスト削減面でも大都市のオフィスは縮小させていく」(ゴム)など、経営面でのメリットに言及するコメントも複数見受けられた。

オフィスのあり方を見直すとの回答のうち、サテライトオフィスなど分散方向で検討している企業が5割弱と最も多かった。「在宅ワークとサテライトオフィスの併用」(輸送用機器)といった使い方が多いようだ。賃貸契約解除など縮小方向での検討も3割程度となった。

(中川泉)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、軍事演習で戦術核兵器の使用練習へ 西側の挑

ワールド

再送イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時

ワールド

再送イスラエル軍、ラファ空爆 住民に避難要請の数時

ワールド

欧州首脳、中国に貿易均衡と対ロ影響力行使求める 習
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中