コラム

広島マツダ「障害者への差別動画」騒動には、日本を「貧しくした元凶」が表れていた

2023年05月17日(水)18時38分

日本に根強く残る「ムラ社会」意識

ところが日本の場合、自分がやってもよいと思うことは、相手もそうであるのが当然という、ある種の閉鎖的ムラ社会の意識が残っており、こうしたトラブルが頻発する。日本の技術を新興国に伝えるという建前とは裏腹に、事実上の奴隷制度と諸外国から批判され、企業における自動化・省力化の阻害要因にもなってきた外国人技能実習制度は、一連の問題を凝縮したものといえる。

日本社会と国際社会の価値観の相違は、日本企業の業績や経済成長にも重大な影響を与えている。例えば海外進出した日本企業に現地の優秀な人材が集まらない問題は以前から指摘されているが、国内では報酬が原因であるとする見解が多い。残念なことに、それは報酬が理由であってほしいという日本人の願望にすぎず、本当の理由は排他的な企業文化である可能性が高い。

社会的な意識の遅れが経済的な貧しさにもつながっているという現実について直視する必要があるだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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